「こうしているとすごく落ち着く」
 
ヨンの胸に顔を埋めたまま肩を震わせてしゃくりあげていたウンス。

それもようやく治まり涙も止まったところで、ウンスがぽつりと零した。

 

「こうしていると、不思議な感覚になることがあるの」

「どのような?」

「もうずーっと昔から貴方を知っているような……、貴方といることがあまりに自然で、貴方がそばにいないことの方が不自然に感じるような……、そんな感覚。貴方とこういう関係になってからじゃなくて、その前からずっと。そばにいるのに無性に恋しくなって、心が貴方を求めているような、そんな感じがする時があったの」

 

ウンスがヨンの胸元から顔を上げる。

 

「貴方の服、濡れちゃったわね。ごめんなさい」
「花嫁の涙で濡れるなら本望でしょう」

 

ヨンはウンスの眦に残る涙を指先でそっと拭った。

 

「貴方、私を求めたのは貴方の魂が私を求めていたからだって言ったでしょ?」

「はい」

「きっと私の魂も貴方を求めていたんだわ」

 

チャン先生の話を聞いてそう思ったの、とウンスは続けた。

 

「私の心にも傷があったんじゃないかって言ってたでしょ?傷かどうかはわからないけど、いつも誰かを求めていたのは確かなの。それが誰かはわからなかったけど、男の人と出会ってもこの人じゃない、この人も違うって、そんな風に思ってた」


男の人と出会って、というところが妙に引っかかったがヨンは話しを折らないように黙っていた。
だが、ウンスにはお見通しだったようで、貴方と出会う前の話よ、だから怒らないで、と優しく手を握られた。
 

「私、天界にいた頃は、誰かのことを心配したり、心を痛めたりするのが嫌で、誰にも心配をかけず、辛くても助けを求めないようにして生きてきた。相手に合わせて笑って、適当に冗談を言って笑わせて、そうやって一人で生きてきた。そうやって、誰にも心を開かずに強い自分を演じて生きてきたの。それは誰かに心を傾けて傷つくのが怖かったから。でもね……本当はいつも求めてた」

 

私を必要としてくれる人を

私を愛してくれる人を

私のありのままを受け入れてくれる人を

 

「それはきっと貴方だったんだわ。最初は、貴方に対しても線を引いてた。好きになっちゃダメって自分に言い聞かせてきた。だけど、いくら頭でダメだってわかっていても、心は……そうならなかった」

 

ウンスはヨンの頬にそっと手を当てた。

 

「貴方を一目見た時から忘れられなかった。貴方を初めて見た時、遠目に一瞬だけ目が合っただけだったのに、貴方の瞳が忘れられなかった。私の魂に訴えかけるような貴方の瞳が」

「俺も、貴女を一目見た時から貴女だと思った。俺の中で、何かが強く訴えた。貴女だと。まるで引き寄せられたように。それは魂が震えたと言っても過言ではない」

 

きっと貴女は俺の魂の片割れなのだろう。

そして貴方は私の魂の片割れだった。
だから共鳴するように求め合った。
魂が惹かれあった。


「イムジャは比翼鳥という生き物を知っていますか?」
「確か、目と羽が片方ずつしかない伝説上の鳥よね?」
「ええ。それゆえに常に番いと一緒でないと飛ぶことができない。きっと俺たちもそうなのでしょう。別々の命で生まれてきたが、二人一緒でないと生きていけない。どちらかが欠けても生きていけない。されど、二人でならどこまでも空高く飛べる。どこまでも行ける。我ら二人で一つの比翼の鳥」

 

そうね、とウンスは再びヨンの広い胸にその身を預けた。


貴方に出逢えてよかった。チェ・ヨン
俺もです。貴女は俺の運命だ。ユ・ウンス

 

ヨンはウンスをひしと抱きしめた。


二度と離さぬ。
生涯貴女を守る。
生涯、愛すると誓う。
そして叶うなら来世でも共に

私も、二度と離れない。
生涯貴方の傍にいるわ。
生涯貴方を愛し続ける。
そして来世でも、貴方の傍に

永遠に、共に


~ 比翼の鳥 Fin ~

 

 

 

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***

比翼の鳥はここで終了となります。

お読みいただきありがとうございました。

この後は特別篇?でヨンとウンスの初夜をお届け予定です(´艸`*)