晴れやかな雲一つない青空が広がる。

空から射す暖かな陽射しが、まるで二人の未来を祝福しているようだ。

チェ家菩提寺の本堂。
雅楽の鳴り響く厳かな雰囲気の中で二人の婚儀が始まった。

本尊の正面にヨンとウンスが肩を並べて座し、外陣側にはチェ尚宮とテマンが並び、二人を見守っている。


心身の穢れを落とすための焼香が行われ、仏と先祖に二人の婚礼を報告するための敬白文が和尚の口から読み上げられる。

「二人の男女が御仏のお導きによって、夫婦の契りを結び、とこしなえに偕老の契りを誓う。願わくば剛柔相扶(ごうじゅうあいたす)け、敬愛の誠を尽くし、四恩(しおん)に報い奉るべし」

和尚が本尊に向かい二人の婚姻を先祖へと報告する間、ヨンとウンスはそれぞれ両親へと思いを馳せていた。

お父さん、お母さん
今まで育ててくれてありがとう。
私、チェ・ヨンと結婚します
二人で幸せになるわ。
心配しないで見守っていてね。
いつまでも元気でね。

お義父様、お義母様
この人に巡りあわせてくれてありがとうございます。
未熟者の私ですが、力を合わせて二人で幸せになります。
どうかお見守りください。


父上、母上
ようやく今日という日を迎えました。
父上の言葉を胸に刻み、
これからはこの方を幸せにするために生きて参ります。
この方と寄り添い、どこまでも共に。

お義父上、お義母上
お二人が愛情注いで育てられたこの方をお二人の分まで慈しみ大切に致します。
この方が笑って暮らせるよう、私のすべてでお守り致します。
この方で幸せに笑っていられるよう、お力添えください。


時折、ウンスはそっとチェ・ヨンを見上げると、ウンスの視線に気付いたヨンもウンスを見つめ返す。
二人は視線を交わして、どちらともなく微笑む。
目で語り合いながら、二人は和尚の祝詞を聞いていた。

表白が終わると、和尚は二人へ向き直った。

「新郎チェ・ヨン、新婦ユ・ウンス
二人の婚儀を仏前にて挙行するに当たり、両者に誓いを求む」

ヨンは懐から誓詞を書き留めた書状を取り出し、朗々とした口調で読み上げる。
低く響く声からは確固たる決意が感じられ、ウンスは胸が熱くなった。

「私達は、只今より新しい生活の歩みを始めるにあたり、今日までお育てをいただいた方々のご恩を忘れず、御仏の教えを導きとし、今より後は相睦び相親しみ、一家を整え、相扶け、相励み、円満なる家庭を営み、子々孫々の弥栄(いやさかえ)を計らん事を誓います チェ・ヨン」
「ユ・ウンス」

読み上げたヨンの後に続き、ウンスもはっきりとした声で唱和した。

「今、両人の誓いを得て、一同来会の諸氏と共に、円満な婚姻の成立を認む。
今日ここに婚礼の儀を挙げたるを喜び、夫婦相和し、芳契変わらず。家庭を整え、生業にいそしみ、相たずさえて如教奉教の金言を守り、もって一生を荘厳し、皇恩仏恩に報謝したてまつるべきこと肝要に候なり。この上は、今日の誓いを胸に、親鸞聖人のご教化に従い、いよいよ真摯な聞法者となられることを願い念珠を授与します」

和尚は仏前に供えてある二つの念珠のうち、白房の念珠をヨンに、赤房のついた念珠をウンスに授けた。

再び楽が奏される中、酌人が大中小三つの杯を運んでくる。

「それでは夫婦固めの杯を」

酌人が小杯をヨンに渡し、そこへ神酒を注ぐ。
ヨンは一回、二回と口をつけ、三回目で杯を空ける。
次にウンスが小杯を受け取り、注がれた神酒をヨンと同じように三回目で飲み干す。
もう一度ヨンが小杯を受ける。
小杯の次は中杯。中杯はウンスから始まり、中杯が終わったら、最後に大杯。

大杯は小杯と同じようにヨンから始まり、そうして交互に九度に分けて神酒を飲み交わし、夫婦の契りが交わされた。

「只今をもって、御仏と先祖へのご報告がなされ、お二人の縁は来世まで結ばれた。
この佳き日に晴れて夫婦となられた事をお祝い申し上げる」

 

和尚の言葉に、ヨンとウンスは頭を下げた。

 

こうして伝統に基づいた婚礼の儀式は滞りなく終了した。

二人は荘厳な雰囲気に包まれて永遠の愛を誓い、晴れて夫婦となった。

 

ウンスはヨンにそっと寄り添い、ヨンの大きな手に自分の手を重ねた。

 

「わたしたち、うんと幸せになろうね」

「ええ」

 

ヨンはウンスの手を力強く握り返した。


 

 

 

 

ヨンは妻となった人をじっと見つめた。
己に嫁ぐために身に纏った華やかな婚礼衣装。
少し高めの、目が覚めるような響きのいい音を奏でる唇に引かれた紅。
婚儀に胸を打たれ、大きな丸い瞳は少しばかり潤み、頬は美しく薔薇色に色づき、肌も艶やかに白く輝いている。

そのすべてにヨンは見惚れていた。
ヨンの視線に気づいたウンスが少し照れたように問いかける。

「何?どこかおかしい?」
「この目に焼き付けておきたくて」

そう言ってヨンはウンスを眩しそうに見つめた。

ウンスも夫となった人に目を向けた。
いつもの見慣れた紺の衣装よりも濃い色のそれは銀糸による刺繍も映えて、よりヨンの精悍さを引き立てている。
元々が背の高い美丈夫だ。
惚れた欲目かもしれないが平服だって、迂達赤の正装だって何を着ても様になっていると思う。

それでも、今日の礼服姿は格別だ。

濃紺の正装はなんだかいつも以上に凛々しくてかっこいい。

 

 

いつまでも二人の世界に浸かっているヨンとウンスに元にテマンとチェ尚宮がやってきた。

 

「大護軍、医仙様、おめでとうございます」
「ああ」
「ありがとう、テマンさん」
「医仙様、とても美しいです」
「ふふ、そう言ってもらえると嬉しいわ」

 

「さ、二人ともこの後は皇宮に向かうのだろう」

「ああ」

「王様も王妃様も首を長くして待っておろう」

「わかっておる」

「じゃあ、叔母様、テマンさん、お屋敷の方はよろしくお願いします」

「ああ、任せておきな」

 

この後は場所をチェ家の屋敷へと移し、祝宴が開かれる。

その前にヨンとウンスは王様と王妃様へ謁見するために皇宮へ向かうことになっている。

 

馬車に乗り込む二人を見送り、テマンはしみじみと言った。

 

「大護軍も医仙様も幸せそうだ」
「ああ、そうだね」

 

チェ尚宮も天を仰いだ。

 

兄上、義姉上、ついにヨンが嫁を迎えました。

天から見ておられるでしょうか?

ヨンの幸せそうな顔を……

 

 

 

 

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***

 

調べてみたら高麗時代は仏教が国教だったようなので、ヨンとウンスの婚儀は仏前式を参考にしてみました。

和尚様のセリフも一部、仏前式のサイトを参考にさせていただいております。

自分が結婚するわけでもないのに結婚式についてめっちゃ調べました(笑)