クリパ企画に投稿したお話に加筆修正したものです。

友達以上恋人未満、両片思いなヨンとウンスのお話になります。

 

雪の結晶雪雪雪雪雪雪の結晶

 

1日1回会うと約束をした東屋での逢瀬。
あの人と会えるのは嬉しい。
けれど季節は秋から冬に移ろい、外で逢瀬を重ねるのには辛い時期になってきた。
特にここ最近の寒さは身に沁みて、ウンスはあまりの寒さに身体をブルっと震わせた。

「雪が降りそうね」

ウンスの言葉にヨンは空を見上げた。
空はどんよりと厚い雲に覆われ、いつ雪が降り出してもおかしくない。

「ねえ、雪が降ったら会いに来て」
「何故?」

秘密、とウンスは人差し指を口に当て、悪戯をする子供のような笑みを浮かべた。

「いい?約束よ」

ウンスはヨンの大きな手を取ると小指と小指を絡めた。



そんな話をしてから数日後。
王妃様の回診から戻る途中、白い花びらのようなものがウンスの視界を掠めた。
あら?とウンスが空を見上げるとはハラハラと白い雪が舞い落ちて来た。

よりによってどうしてあの人がいない日に降るのかしら。
あの人は数日前から任務で王宮を不在にしている。
帰ってくるのはいつって言ってたっけ?
初雪も一緒に見れないなんて、やっぱりあの人とはそういう運命なのかしら。
元の世界に戻るべき?


ウンスは窓の外に目を向けた。
陽が沈み暗くなりつつある世界は絶え間なく雪が降り続いている。
このままの勢いだと今夜には積もるだろう。

今日はもう会えなさそうね。
はぁ、と吐いた息は白く、部屋の中にいても底冷えがする。
あの人がいない今、体の芯まで冷える寒さを何をもって癒せば良いのか。


あの人に会いたい。

その時トントンと部屋の扉が叩かれた。

こんな時間に誰かしら?

「俺です」

その声にウンスの心臓がとくんと跳ねた。
まさか、と思いながらウンス部屋の扉を開けた。
幻聴でも聞き間違えでもなんでもなかった。
そこには会いたかった人の姿。

「どうして……? 戻るのは明日のはずじゃ?」
「予定が早く終わりましたゆえ」
「怪我は?」
「しておりません」
「よかったわ」
「貴女が元気がないようだと部下が申しておりました。どこか具合でも?」
「え?ううん、何でもないわ。この通り元気よ!心配して来てくれたの?」
「それもありますが、初雪が降ったら会いに来いと貴女が」

心臓がぎゅっとなって、それからじわじわと胸が温かくなった。
この人が会いに来てくれたことがどうしようもなく嬉しくて。
どんな時でも約束を守ってくれるこの人がどうしようもなく好きで。

もう本当に困っちゃうわ。
もう引き返せない。

この人と離れたくない。
ずっと一緒にいたい。

そんなこと伝えたら貴方は迷惑かしら?

 


***

 

 

チラチラと舞い出した粉雪を見て、あの方の言葉を思い出す。

「ねえ、雪が降ったら会いに来て」

あの方は今頃どうしているだろうか?

あと少しでこの地の視察も終わる。
今からチュホンの脚で駆ければ王宮には戻れるはずだが、部下たちを置いて自分だけ帰るわけにもいかぬだろう。
今夜はこの地に泊まり、戻るのは明日になりそうだ。

 

約束を守れぬこと、あの方は怒るだろうか。

それとも悲しむだろうか。

あの方が寂し気に目を伏せる光景が脳裏に浮かび、無意識に拳に力が入る。

 

「隊長」

 

チュンソクのはっと声に我に返る。

 

「この地における任務はすべて完了いたしました」
「ああ、では宿へ向かう準備をしろ」
「は!……あの、隊長は皇宮へお戻りください」
「何?」
「大事な約束がおありなのでは?」
「なぜそう思う?」
「始終皇宮の方を気にしておられましたゆえ。後は隊を率いて帰還するのみ。
それくらいなら某にもできます。隊長は隊長にしかできぬことをすべきかと」
「チュンソク……恩にきる」

雪が勢いを増す中、全速力でチュホンを走らせる。

皇宮に戻ると王への報告も後回しに、その足を典医寺に向けた。

 

「隊長!お戻りは明日のはずでは?」

 

あの方の部屋に到着すると護衛につけた部下が駆け寄ってくる。

 

「あの方の様子はどうだ?何か変わったことは?」

「心なしか元気がないように思います。雪を見てはため息をついたりと……」

「そうか。今日はもう良い。休め」

「は!」

 

護衛の部下を下がらせ、入り口の扉を叩く。
少ししてからゆっくりと扉が開かれる。

俺の姿を認めたあの方は元々大きな瞳をさらに大きくした。

「どうして……?戻るのは明日って」
「予定が早く終わりましたゆえ」
「怪我は?」
「しておりませぬ」
「よかった」
「元気がないようだと部下が申しておりました。どこか具合でも?」
「え?ううん、この通り元気よ!心配して来てくれたの?」
「それもありますが、雪が降ったら会いに来いとイムジャが」
「だから、会いに来てくれたの?」

頷けば目の前の女人は一瞬困ったような顔をしてから、とびきりの笑顔を見せてくれた。

 

ああ、戻ってきて良かった。

 

この笑顔が見たかった。

この笑顔を守るためなら、何でもしよう。

改めて心に誓った。

 

 

 

続きます

 

 

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