閨に向かってくる慌ただしい足音にヨンは意識を覚醒させた。
「旦那様」
腕の中で眠っているウンスを起こさぬよう寝台からそっと抜け出て、夜着を身に纏う。閨の戸を少し開けて顔を出すと、そこは女中頭のミンスが申し訳なさそうな顔をして、そして居た堪れないというように佇んでいた。
「何事だ」
「それが……お客様がお見えです」
「客?誰だ」
「チェ尚宮様にございます」
「叔母上が?皇宮からの知らせか?」
「いえ、旦那様と奥方様お二人にご用のようで」
「……わかった。すぐに行く」
ヨンは素早く夜着から普段着に着替え、ウンスが眠る寝台に戻った。
「イムジャ、起きてください」
「ん……もう、むり……」
肩を揺すって起こそうとするが、夜通し愛されたウンスは未だに夢と現の間を彷徨っているようだった。
「イムジャ、そうではない。叔母上が来たのだ」
「おば、さま?……ええっ!?」
ウンスは飛び起きた。
その拍子にウンスの体を覆っていた布団が滑り落ち、生まれたままの姿がヨンの前に現れた。
昨夜、というより明け方まで仕置きと称して散々愛されたウンスの白い肌には至るところに彼の情欲の証が散りばめられていて、その艶めかしい肢体にヨンは見入った。
つい先ほどまで貪っていたはずなのにその華奢な身体を組み敷き、再びその身体を味わいたい。その愛らしい口から甘い声が聞きたい、温かい身体に包まれたい、という欲求が内から込み上げてくる。
飛び起きた拍子に身体のいろいろな部分に鈍痛が走り、一瞬顔をしかめたウンスだったが、すぐに自分の状態に気づいて、きゃっと短く悲鳴をあげ、慌てて布団で己の体を隠した。だが今は恥ずかしがっている場合ではない。
「叔母様が来たって、何で?王妃様に何かあったとか?」
「いえ、俺とイムジャに用があるそうです」
「そう。でも早く着替えなきゃ」
とウンスが寝台から降りようとしたところでウンスの身体がよろめき、ウンスは咄嗟にヨンにしがみついた。
「大丈夫か?」
「もう~!身体が動かないじゃないっ。どうやって着替えればいいのよ!」
「人を呼ぶか?」
「絶対に嫌。あなた以外の人に裸を見られるなんて!それに……恥ずかしいじゃない」
ウンスは己の体を見下ろした。
先程、布団で隠す前にチラッと視界入った胸元だけではない。
腹や腿、至る所に残る紅い痕。
昨夜のことが思い出されてウンスは顔を赤らめた。
これを誰かに見られるなんて絶対に嫌!恥ずかしい!!
と訴えるウンスにヨンは布団を巻きつけ、そのまま抱き上げて閨と繋がっているウンスの部屋へ向かった。
それからヨンはウンスの肌が見えなくなるところまで服を着せてやり、そこから後はミンスに任せ自分は待たせている叔母の前に顔を出した。
「やっと来たか。まったくこのような時間まで寝ておるとは」
「王様からいただいた賜暇だ。どのように過ごそうが俺の勝手だ。叔母上こそ何用だ」
「お前が早く婚儀を挙げたいと申したゆえ、わざわざこうして足を運んでやったのだ。医仙はどうした?」
「……後から来る」
この色惚けめ、とチェ尚宮は口には出さず目の前の甥を見据えた。
その思いは正しくヨンに伝わったのか、ヨンはバツが悪そうに視線を逸らした。
とその時バタバタと足音が聞こえてきて、勢い良く部屋の戸が開いた。
「お待たせして申し訳ありません、叔母様」
遅れてやってきたウンスは、お待たせとヨンに小さく声をかけてその隣の席に腰を下ろした。
チェ尚宮はヨンの隣に座ったウンスを見た。
まだ巳の刻だというのに心なしか憔悴している様子のウンスだが、肌艶はよく頬には赤みが差していた。
「甥が無体を働いたのではありませんか?」
「叔母上」
「え!そんな、違います……!ちゃんと優しいです」
あら、私ったら何言ってるのかしら、とウンスは赤くなって頬を押さえた。
「……なら、よろしいのですが。屋敷のことで不自由などはございませぬか?」
「え?ええ、大丈夫です。お屋敷が広くて迷っちゃいますけど、それ以外は快適に過ごしてます」
「それは何よりです。また何か足りないものなどあれば遠慮なく申してください」
「ありがとうございます。でも今はこの人がいるだけで十分です」
「イムジャ」
甥が甥なら嫁も嫁だな、とチェ尚宮は思った。
だが4年前の二人を知っているだけに、幸せそうに微笑みあう今の二人の姿に普段は引き締めているその口元を緩めた。
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なんとか更新できました。よかった(笑)
どこまで書いたっけ?と前回の記事を確認しながら書いたけど大丈夫かしら?
不安です( ;∀;)
