「王様、ありがとうございます」

 

重臣達が退席した後、ヨンとウンスは改めて王に頭を下げた。

 

「あのような書簡まで寄越されてはな。もしこの婚姻に反対などしようものなら今度こそ大護軍は医仙を連れて宮中を去ろう」

「さすが、王様!この人をわかってる~」

「イムジャ」

 

王はヨンの横に立つウンスに目を向けた。

 

「よくぞ、お戻りに」

「ありがとうございます」

「医仙は変わらぬな。天界では歳をとらぬのですか?」

「それが、どう説明したら良いのかわからないんですけど、私の中ではあれから1年しか経っていないんです」

「1年?……天界とは不思議なところだな」

「ええ、まあ……」

 

厳密に言えば天界ではないのが、100年前にいたと言っても、王を混乱させるだけだと思い、ウンスは曖昧な笑みを浮かべた。

 

「それにしても先ほどの重臣たちに対する啖呵は見事であった」

「王様、笑いごとではありませぬ。どれほど肝を冷やしたか」

「だって、私のことをとやかく言うならまだしも、あなたのことをあんな風に言われて黙ってなんかいられないわ」

「それは俺とて同じです。イムジャをあのように言われて黙ってなど……」

 

今思い出しても、どうしようもない怒りが腹の底から込み上げてくる。

だが、その後すぐに自分の中に沸き起こった感情は全く逆のものだった。

 

この方を罵った此奴らをどうしてくれようか。

そんなことを考えていた矢先、思ってもみなかったこの方の行動。

驚き、呆然とすることしかできなかった。

その後にこの方から発せられた言葉に心が震えた。

その口から飛び出したのは己を守る言葉ではなく、俺を守る言葉。

この方の想いに、優しさに、喜びが胸を貫き、ぐっと締め付けられた。

次いで胸の奥がじわりと温かくなり、その温かさが体中に沁み渡った。

 

俺が守ってやりたいのに、守れてばかりいる。

 

「次は後ろにいてください」

「それは約束できないわ」

「イムジャ……」

 

そんな二人のやりとりを王は微笑まし気に見ていた。

友であり、兄のようでもある男のこのような顔を見るのは実に久しぶりだった。

 

「そこまで医仙に想われている大護軍を余は羨ましてく思うぞ」

「あら?王様だって王妃様に想われてるでしょう?」

「イムジャ!」

「良いのだ。医仙、王妃も首を長くして待っているであろう。会いに行ってやってくれ」

「はい、私も王妃様に早くお会いしたいです」

 

行ってきてもいい?とウンスが訪ねると、ヨンは頷いた。

 

ウンスが退室するとその場には王とヨンが残された。

 

「して、いつ執り行うのだ?」

「は?」

「其方らの婚儀だ」

「……」

 

予想もしていなかった問いに、咄嗟に返す言葉が見つからない。

 

「いつ婚儀を挙げるのだ?」

 

再度問われる。

 

「まだ、何も……決まっては……」

「ならば早々に決めよ」

「されど」

「4年も待っておったのだろう?」

「……」

 

北方の地でヨンがウンスを待っていられたのはこの王のおかげだ。

奪われていた領土の奪還が完了した後も、あの地で、あの方を待つことができたのは、この王が留まることを許してくれたから。

そして俺があの方を待つように、この王もいつも自分を待ってくれていた。

感謝している。

 

「決まり次第ご報告します」

「楽しみにしておるぞ。それにしても医仙には真に驚かされてばかりだな」

「申し訳ありませぬ」

「良いと言うたであろう。あのような重臣たちの顔が見られて胸が晴れたぞ」

「おやめください」

 

王は楽しそうに笑った。

 

「だが実にめでたい」

「ありがとうございます」

 

 

 

 

ウンスを見るなり、王妃は目を潤ませた。

それはウンスも同じだった。

大きな瞳を涙で潤ませ、お互い見つめ合う。

 

 

「王妃様、お元気でしたか?」

「はい。医仙もご無事だったのですね」

「はい、この通り!」

「お元気そうで何よりです。またこうしてお会いできたこともまこと嬉しく思います」

「王妃様……天界の姉として抱きしめても良いですか?」

 

王妃が頷くのを見て、ウンスはそっと王妃を抱きしめた。

しばしの間、再会できた喜びを噛みしめ合う。

ありがとうございます、とウンスが王妃を離すと、王妃はウンスに着席を促した。

 

「これからはずっと高麗に……?」

「はい、ずっとあの人のそばにいます」

 

ウンスの言葉に、少し離れたところで二人を見守っていたチェ尚宮も口元を緩めた。

 

「では婚儀も?」

「まだ何も決めてないですけど、プロポーズ……ええと、結婚の約束はしました、はい」

 

嬉しそうに、そして照れたようにウンスは笑った。

 

「医仙、とても幸せそうですね」

「はい。でも王妃様もとっても幸せそうですよ!それにすごく美しくなられて、王様にたくさん愛してもらってますか?」

 

今度は王妃が照れる番だった。

4年の時を経た王妃はさらに美しくなり、その表情は輝きに満ちていた。

後ろにいたチェ尚宮が盛大に咳払いをして見せた。

ウンスと王妃はこっそりチェ尚宮を盗み見て、微笑み合った。

 

「王妃様」

「はい、医仙」

「もしよければまたこれからも王妃様のお体を診させていただけませんか?」

「私としては是非お願いしたいですが……」

 

ウンスと王妃はチェ尚宮の顔を見た。

 

「王様とヨンにご相談を」

 

 

 

 

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***

 

ヨンはウンスと一緒にいると喜びとか嬉しさで心が温かくなることが多々あるんじゃないかなぁ、と書いてて思いました。

ヨンは殺伐とした人生を送ってきてるから、心がじんわりと温まる、くすぐったくなる、そういう感情は今まであまり経験したことはないんだろうなぁ。だから戸惑いながらも徐々にウンスから与えられる愛情に、そういう感情に慣れていって欲しいなぁ。なんて。

 

さて、ようやく王妃様との再会も果たしました~(*´ω`*)

王妃様もウンスの帰りはとても待ち望んでいたと思うんですよね。

これで皇宮の面々との再会は無事に果たせましたので

(本当はドチさんを入れるか迷ったんだけど、長くなると思ったので割愛しましたw ドチさんごめんよ)

次は二人の生活スタート&スリバンの面々との再会になるでしょうか?

 

もうストックないので更新頻度落ちるかもです(´;ω;`)

というか確実に落ちそうですw

ヨンとウンスをじっくりイチャイチャさせいし(〃ω〃)