ヨン部屋には、ヨンとウンスそしてチェ尚宮の3人が集まっていた。
「着替えたら御前にあがります。そこで帰還の報告の後、イムジャを紹介します。ただ重臣たちから何を言われるか……。不快な思いをさせるかもしれません」
「平気よ。質の悪い客の相手なんてソウルにいた時から何度もしてもの。慣れてるわ。それに二人のためなんでしょ?多少のことは我慢でするわ」
「して策はあるのか?」
「ああ。イムジャ、嘘も方便。あの時を覚えておりますか?」
「ええ」
「今回も同じように一芝居打っていただきます。それには宮中をよく知る叔母上の協力も必要だ。叔母上、イムジャを頼む」
「わかった」
チェ・ヨンは正装に着替えると宣仁殿へ向かった。
宣仁殿に入り瞬時に中を見回す。
中央の玉座には王が、その両側には重臣一同が介していた。
チェ・ヨンは入口にいるウンスに目配せした後、王の前まで進み出てその御前で跪いた。
「臣、チェ・ヨンただいま帰還致しました」
「大護軍チェ・ヨン、此度の北方の収復、まこと大義であった」
「は、勿体なきお言葉にございます」
「元に奪われていた領土の収復は高麗の悲願、まこと良くやってくれた。何か褒美を取らせたい。何か望みはあるか?」
「一つ、お願いがございます」
「申してみよ」
「は、既に書簡にて申し上げた通り、妻に迎えたい女人がおります。その方との婚姻を認めていただきたく」
その言葉に周りの重臣たちがざわめいた。
そのざわめきをよそに王は続ける。
「してその女人はどのような御仁なのだ。書簡には天の国の女人とあったが」
ヨンが合図すると、宣仁殿の扉が開き一人の女人が入ってくる。
美しい顔にしっかりと結い上げられた髪、華やかな衣装を纏ったその姿に重臣たち一同が目を奪われた。
重臣たちの前を通り過ぎてチェ・ヨンの隣に立った女人は王に頭を下げた。
「お久しぶりです、王様。お元気でしたか?」
「これは……驚いた。まことに医仙か?」
「はい!王様。王妃様とは仲良くされてますか?」
イムジャ、と小さく窘められるウンスを王は懐かしい眼差しで見た。
「この方、医仙 ユ・ウンス殿との婚姻を王様にお許しいただきたく」
その言葉により一層周囲はどよめいた。
「天界の女人を娶るなど恐れ多いことと存じております。されどこの方が私の唯一の望み。この方以外は何も望みませぬ。どうか……」
そこで重臣の一人が口を開いた。
「少しよろしいでしょうか?」
きたか、とヨンは思った。
ヨンとウンスは後ろを振り返り、声のした方を見遣った。
「なんだ」
「その婚姻、少しお待ちいただけませんでしょうか」
「大護軍の婚姻に何かあるのか?」
「は、お言葉ではございますが、その方は真に医仙なのでしょうか?仮に医仙だとして、医仙という女人は妖術を使うと聞き及んでおります。その妖術は男を惑わし意のままにするとか」
「何が言いたい」
ヨンが冷たい声と視線でその重臣を睨みつける。
その視線に重臣は一瞬怯んだものの話を続けた。
「大護軍もその妖術に操られているのではございませぬか?それに私は4年前に医仙をお見かけしたことがございますが、医仙の風貌は4年前と変わらぬようにお見受けします。天界のお方とはいえ歳をとらぬというのはおかしな話。医仙は真に人なのですか?人の皮を被った妖魔なのでは?」
「おお、以前、徳成府院君も確かそのようなことを言っておった」
「仮に妖魔でなくとも大護軍を操って高麗を支配しようとしている可能性だってある」
「そうだ!4年の間、行方不明だったと聞いた。その間どこで何をしておったのか。よもや元に身を隠し、この高麗を狙う算段をしておったのではあるまいな?」
「王様、そのように疑わしき者と高麗きっての名家の当主であるチェ・ヨン殿の婚姻を認めるのは些か早計かと存じます」
「それからもう一つ、医仙は妖術の他にも先見ができると聞き及んでおります。そのような力が、一家臣に渡るのも問題ではございませぬか?過ぎた力は人を狂わせます。かつてのキ・チョルのように力に目がくらみ、いつ心変わりをするか……国や民に何かあってからでは遅いですからのう」
こうなることは想定済みだ。
だが想定していたとはいえやはり反吐が出る。
自分のことならまだしもこの方を悪く言われるのは我慢ならない。
ヨンはぐっと拳を握りしめた。
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短めですみません( ;∀;)
キリの良いところまで書くと少し長くなってしまうのでぶった切りました(^^;)
ウンスさんへの悪口のチェ・ヨン氏キレそうですw
どう反撃に出るのやら…
