突然だが、会社を辞めることにした。
といってもリストラに遭ったわけじゃなく、ある資格が取れたんで、もう少し待遇の良い別会社へ移籍することにしたわけ。
このご時世、いくら正社員でも身分が保証されてるわけじゃないしな。
入社から4年間、あまり高くない給料でさんざこき使われたとはいえ、会社自体に恨みがあるわけじゃない。いや、少しあるか。
いきなり辞表を叩きつけるのも格好良いかな、と思ったが、そこは社会人。
まずは直属の上司に当たる課長に話しておくことにした。
「えっ!? もう…決めちゃったの?」
「はい、だいたいは…」
課長は驚いた様子の後、少し悲しそうな、恨みがましいような目を向けた。
もっとドライに対応するかと思ってたから予想外。何だか申し訳ない気がした。
課長は女性で、俺にとっては大学の先輩でもある。
俺より十何年か上だから学生時代は面識がなかったが、同門が少なかったせいか、入社当時から何かと目をかけてくれた。
現場部門に配属された俺を2年前、企画部門に引き抜いてくれたのも彼女だ。
若手時代から抜群に仕事ができたらしい。
社内結婚して娘もいるが、出産と育休のブランクをものともせず、同期で最初に管理職に昇進。
仕事と育児を両立するスーパーウーマンってやつだ・・・
そして・・・

