山鹿市菊鹿町相良に所在する
宝篋印塔残欠(相良寺境内)です。
文化財の指定は受けていません。
安産や子授けなどにご利益があるという相良寺(相良観音)の駐車場の一角に人知れず佇んでいます。恐らくこれが巨大な宝篋印塔の残欠であることに気付く人はほぼいないのではないかと思います。近くには県指定重要文化財「笠忠平の宝塔」があります。
この宝篋印塔残欠は、基礎石のみ残っていて、多田隈豊秋『九州の石塔』上巻によると、県指定重要文化財「川西の宝篋印塔」(山鹿市菊鹿町)と同形で、法量的にはさらに大きなものになります。「川西の宝篋印塔」でもかなり巨大なのに、それより大きいってすごいですね~。基礎の最下段に銘文があり「宝篋塔 文保三年 四月十日 造立 大願主 遍照金剛」と刻まれているそうです。「川西の宝篋印塔」は正和三年(1314年)の建立なので、こちらの宝篋印塔はその5年後(文保三年(1319年))に建てられています。遍照金剛は「川西の宝篋印塔」にも刻まれている名前で、どちらも同一人物による建立ということが分かります。
相良寺の駐車場の一角にありますが、説明板もなにもないので、普通は分かりません。しかも行った時には宝篋印塔が草や蔓に覆われていて石材すら見えませんでした。次は、蔓に覆われていない時に見に行きたいです。
蔓と草とコケに覆われたピラミッドみたいです。
※写真は2020年1月撮影



