みじかいストーリー
書いてみた
『吾輩は猫である』
庭に面した窓を開けたら、
どこからともなく見知らぬ柴犬がやって来て、
ボクの正面にちょこんと座った。
「ごはんがほしいのかな?」と思っていると、
驚いたことにその犬は、テレパシーで話しかけてきた!
「吾輩は猫である 名前はまだない」
テレパシーにも驚いたが、
夏目漱石の「吾輩は猫である」を知っているのにも驚いた!
どういうこと?
犬なのに猫だって言うし……。
するとその犬はまた
「吾輩は猫である 名前はまだない」と言った。
……名前がほしいのかな?
何となくそう思ったが、
ふと見ると、その犬は首輪を付けていた。
「あれっ?飼い犬なんだ、じゃあもしかして首輪に名前が付いてるかも…」
ボクはゆっくりと犬に近づいた。
身動きもせずに、
おとなしく同じ姿勢で座っている。
首輪に「シーザー」と書かれていた。
「君、シーザーって名前なの?カッコイイ名前持ってるじゃん」
そう言うと、またその犬がテレパシーで伝えて来た。
「吾輩は猫である 名前はまだない」
ボクは笑ってしまった。
「いやいや、君は猫じゃなくて犬だよ?」
するとまた、
「吾輩は猫である 名前はまだない」と言う…。
飼い主に教え込まれたのかなぁ…。
ま、とにかく、何かのアクションを起こさなければ、
このシーザーは去ってくれなさそうだ。
シーザーに釣り合うような名前……。
「そう言えば、エジプトに猫の神がいたよな…
アヌビスじゃなくて…何だっけ…」
ボクはすぐにスマホで検索した。
「バステト神!」
「女神のようだけど、
君のもう一つの名前はバステト、どうだい?」
そう言うと、突然シーザーの体が白金に輝き、
目の前に、それはそれは美しい大きな黒猫が現れた。
驚いて固まっているボクに、
「ありがとうございました」と礼を言い、
深々と頭を下げると、
忽然と姿を消したのだ…。
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