みじかいストーリー
書いてみた
『このせかい ⑦』
ミナミは少し困った顔をして、
ポツリ、ポツリと話しはじめた。
じつはね…。
高校の時の友人が、去年再婚したそうなの。
再婚って言っても、まだ籍は入ってないそうだけどね。
その友人から、昨日の朝電話があってね、
彼の実家が○○市にあって、今日行くんだけど、
その帰りに、挨拶にウチに寄ってもいいかって。
でね、その彼が出版社に勤めているんですって!
私ね、朝あなたの部屋を掃除した時に、
あの漫画を見てびっくりしたのよ!
まるでプロの漫画家じゃない!ってね。
それでね…見せちゃったのよ!
そしたら向こうも驚いちゃって、
これお借りできませんかって…。
で!?あれを持って行ったのか!?
何てことをしてくれたんだ!
あれは既存の漫画の写しなんだよ!
僕は頭を抱え込んでしまった。
どこの出版社なの!?
○○○○社って言ってたわ…。
えっ!?
あの漫画の出版社じゃないか!
まさか自社で出しているものを知らないってことあるんだろうか?
それとも部署が違うと分からないものなのか?
何がどうなっているにせよ、
僕の恥さらしに変わりはない!
しかし、
その日の夜、その男性から、
早急に出版したいので改めて話がしたいと連絡が来たのだ!!
妻のミナミは大はしゃぎだが、
僕は不可解でたまらない。
あなたの会社で出している漫画の模写なんですけど…
と、心の中でつぶやきながらも、
次の休みに、その出版社へ行くことになった。
つづく