みじかいストーリー
書いてみた
『井の中の蛙 ②』
「この井戸の中の世界しか知らないとは、なんと哀れな…」
そこへちょうど仲間のヘビが助けにやって来ました。
井戸に落ちたヘビのSOS信号をキャッチしたのです。
「おーーい、助けに来たぞ、大丈夫か!?」
「ここだ!早かったな、ありがとう!」
ヘビは大喜びです!
「こんなに早く助けに来てくれるとはありがたい!」
井戸の上で救出の準備をしている間、
ヘビはカエルにヒソヒソ何かを話していました。
「ワタシと一緒に井戸の外に出てみないか?
こんなチャンスは二度とないかもしれないぞ」
カエルは少し考えましたが、意を決して頷きました。
ヘビはニヤリとしてカエルに言いました。
「賢い判断だ。ではワタシはお前にアドバイスをしよう。
上にいる仲間は、お前を見つけたらすぐに食ってしまうだろう。
そこでだ。ワタシの腹の中に隠して脱出させてやろうと思う」
カエルは怪訝な顔をしてヘビを見ましたが、
ヘビはそんなのお構いなしに言いました。
「いったんワタシが飲み込んで、
仲間がいなくなったところで吐き出してやる。
それしか方法はないぜ」
カエルは恐怖で震えました。
「な、何が外に出してやるだ!
ワタシを食べる口実じゃないか!」
「シッ!!」
ヘビは上を見上げて小声で言いました。
「仲間に気付かれる、小さな声で話せ!
だいたい、なんでそんな面倒な口実を作らねばならんのだ?
食べるんなら仲間が来た時にすぐに食ってるさ!
二度と無いこのチャンスを使うかどうかはお前さん次第だ」
カエルは体を固くして用心しています。
その時上から縄ひもが降りてきました。
すると、その一瞬の隙を狙い、
ヘビはカエルを一瞬のうちに飲み込んでしまいました!
つづく