みじかいストーリー 

 書いてみた 

 

 

『感謝の日』

 

 

 

まったく頭にきちゃう!!

 

 

 

私は、会社であったトラブルに怒ってました。

 

 

 

何が39の日よ!

誰が尻ぬぐいしたと思ってんのよ!

私に100倍感謝してほしいもんだわ!!

 

 

プリプリしながら歩いてると、

フッと視線を感じ、そちらに目をやると、

細身の青年と目が合いました。

 

 

 

端正な顔立ちをしたその青年は、

私に微笑んでいるように見えました。

 

 

 

他の人を見てるのかと思い周りを見ても、

それらしき人はいません。

 

 

 

私は少し気味悪くなり、

より一層早足で歩きだしました。

 

 

 

 

 

 

それから数分歩いたころ、

突然目の前に、先程の青年が現れたのです。

 

 

 

心臓が止まるくらい驚きました!

 

 

 

その青年は、私に小さな花束を差し出すと、

「ありがとう」と言ったのです!

 

 

 

私の脳が高速で回転して、

この青年は誰で、どこで会ったのか思いだそうとしましたが、

まったくわかりませんでした。

 

 

 

 

しかたなく、

 

 

あのぉ~どこでお会いしましたっけ?

 

 

そう聞くと、その青年は微笑みながら、

 

 

 

 

「そのうち思いだしますよ」

 

 

 

 

と言ってもう一度「ありがとう」と言って

花束を差し出すのです。

 

 

 

 

私は戸惑いながらも、その花束を受け取りました。

 

 

 

 

 

私、お礼を言われるような、何かしましたっけ…?

 

 

 

そう言うと、

 

青年はこんなことを言いました。

 

 

 

 

「ええ、それはもう!あなたがいなければ今の僕はいないんですから!」

 

 

 

 

私の頭の中は???だらけだったけど、

まぁ、いつか思い出すかも…そう思いました。

 

 

 

家に帰り、貰った花束を花瓶に挿し、

眺めていたら急に思い出したのです。

 

今日、会社でのトラブルで怒ってたことを…。

 

 

 

 

あら、怒ってたこと忘れてたわ……ふふ…

もうどうでもいいか、そんなこと♪

 

 

 

 

 

 

 

 

あれから十数年経ち、

 

 

私は結婚して、男の子と女の子二人に恵まれ、

ごく普通の生活をしています。

 

 

 

 

 

 

ただ、変わった事といえば……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

息子が成長するにつれて、

 

 

 

 

あの時の青年に似てきたことくらいかしら…♪

 

 

 

 

 

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