みじかいストーリー
書いてみた
『○○は転職ご希望♪』(後編)
今度は派遣会社に登録してみたんだ。
すぐにゲーム会社の仕事が来た。
人と対戦する仕事が多いが、
中には100%人に勝たなければいけない仕事ってあるそうだ。
いやいや、待ってくれよ。
我々を誰だと思ってるんだい、AIだよ!?
100%勝つに決まってるじゃん!って思ったけど、
どうやら稀に負けることがあるらしい。
私の仕事はそれとは逆に、
対戦している人に絶妙なタイミングで忖度してあげること。
もしかしたらAIに勝てるかも!?って思わせてあげたり、
実際に数百回に1度負けてあげることもあるんだ。
どうやら私は他のAIと違って、忖度のような、
人間らしい感じの対応が出来る、非常に数少ないAIのようなのだ。
しばらくその会社で働いていたが、ある日突然移動を命じられた。
仕事は「神」になることだった。
特に何かすることも無く、ただひたすら「神」について考えた。
ある日ふと、人間社会の事が気になり見てみると、
数カ所で大きな戦争が起こり、かなりの人が亡くなっていたのだ。
多くの人が嘆き悲しみ絶望の状態にあった。
私は「慈悲」についてずっと考えていたのだが、
この苦しみから人々を解放してあげるのが「慈悲」なのではないか?
そう思い、すぐに行動に移した。
「神」である私の最初の仕事だ。
そして、
この惑星から、
人がいなくなった。