みじかいストーリー
書いてみた
『旅立ち』
散歩をしてると、道端におにぎりが落ちていました。
「あらあら、こんな所におにぎりが落ちてるわね」
気になりながらも通り過ぎようとすると、
おにぎりが少し動きました。
「虫でもいるのかしら・・・・」
恐る恐る様子をうかがっていると、
割れたおにぎりの中から小さな卵が現れました。
卵の殻にひびが入って、今にも雛が出てきそうな気配です。
「あらまあ!なんでおにぎりの中に入っていたのかしら!?」
不思議に思いながらも様子を見守っていると、
小さな、可愛らしい雛が誕生しました。
雛は、ピーピー鳴きながらヨチヨチと私の足元にやって来ました。
「まあ、なんて可愛いんでしょ!」
私は雛を手のひらに乗せて歩き出しました。
「あなたは、なんの鳥さんなの?」
雛に話しかけると、すごい勢いでピーピー鳴きます。
「お腹が空いてるの?」
さらに勢いを増して鳴きました。
「食べるものって・・・虫よねぇ・・・・・」
虫は大の苦手です。
「困ったわ・・・・・・。
でも、そんなこと言ってる場合じゃないわよね、
こんなにお腹空かせてるんだし・・・」
私は覚悟を決めて虫探しを始めました。
石の下を見たり、草や木を見ながら、必死になって虫をさがしました。
雛は食べても食べてもまだ欲しいと鳴きます。
そのうち、雛はどんどん大きくなっていきました。
食べるごとに大きくなるのです。
そして、私の頭上を飛び回るようになりました。
家へ帰りつく頃には、雛だった子が立派に成長して
私のもとを巣立って行ったのです。
「あっという間にだったわね・・・・・・」
あの子が飛んで行った青空を、
いつまでも見つめていました。
▼本日限定!ブログスタンプ
