『旅路』 (後編)
「ねぇ CAさん、この席はどうやって決まっているんですか?」
「友達が出来たので、一緒の席がいいんですけど、、、」
「ワタシ太ってるから、エコノミーよりビジネスの方が
周りの人のためにもいいと思うんだけど!」
等々、文句を言う人々。
その文句に対して、聞き慣れたように無表情でこう言うのだ。
「生前のお客様の行いによって決まっています」
「ファーストクラスのお客様は、生前にたくさん良い行いをした方です」
「エコノミークラスのお客様は、ご自分の胸に手を当ててお考え下さい」
すると、あちこちから怒号が飛び交った。
でもそんな事は毎度のことで慣れている。
最後にCAはこう付け加えました。
「飛行機に乗れない人もたくさんいらっしゃるんですから!」
すると急にみんな大人しくなってしまった。
自分たちはまだマシなんだと、
少しばかりの優越感に浸り、安堵するのだ。

