『赤ん坊と少年』
昔々のお話です。
あるところに源吉という男の子がいました。
父も母も亡くなり、住むところもなく、
その日暮らしの生活をしていました。
ある日、道端に赤ん坊がいるのを見つけました。
「捨てられたのかな・・・」
源吉はその赤ん坊を背負い、歩き出しました。
自分が生きて行くのも大変な中
せっせと赤ん坊の世話をしました。
ある日、源吉は思いました。
「この”坊”はいつになったら大きくなるんだろう・・・・?」
不思議なことに、
赤ん坊は何年たっても赤ん坊のままでした。
月日が経ち、
源吉は年老いて体力もなくなってきました。
「もうそろそろあの世に行くかもしれんなぁ、
その前に、”坊”の世話を誰かにお願いせんとな・・・」
源吉がそう考えていると、
突然赤ん坊から光が放たれ、
みるみるうちに、”坊”は仏様の姿になったのでした。
びっくり仰天している源吉に、仏様は言いました。
「源吉、今までよく頑張って来ましたね。
ありがとう」
そして源吉は、大きな光に包まれて、空へと昇って行きました。
