シャープとパナソニックの中間決算が発表され、シャープが3875億円の赤字、パナソニックに至っては
6851億円の赤字と報じられ、日本の家電業界はより一層深刻な事態に陥っている状況です。
パナソニックは企業規模も大きく、まだ体力的には余裕があると思いますが、シャープは会社の存続すら
危うい状況となってきました。
どちらもつい数年前までは過去最高の売上高と経常利益を誇っていた優良企業とは思えない悲惨な状況です。
「貧すれば鈍する」というのは次のようなバカ商品を市場に出すようになったことからもうかがえます。
シャープ、スマホで“口頭操作”できるBDレコーダー
…SankeiBiz
洗濯機にスマホをタッチ、洗剤と柔軟剤を設定 パナソニック、“スマホ家電”発表
…ITmedia News
どちらもスマートフォンと家電の融合を目指した商品なのですが…。
前者の「スマホで口頭操作」は、自然言語処理の性能しだいですが、言葉でBDレコーダーを操作すると
いうのは、操作している者を第三者から見ると、これほどバカっぽいものはありません。
現時点ではスマホアプリでわかりやすいタッチパネルユーザーインターフェースを導入したリモコンソフトを
添付したほうがずっとスマートな気がします。
後者の「スマホで洗剤と柔軟剤を設定」に至っては、もうおじさん参りましたとしか言いようがありません。
いずれ「スマホ連動コタツ」や「スマホ連動電気ケトル」が登場するかと思うと、もう胸熱です。
最近のスマホブームにあやかってのスマホ連携なのでしょうが、あまりにも発想が貧困で涙が
チョチョイのチョギレです。
発展途上の製品ではありますが、韓国LG社のスマートテレビは大画面テレビを使いやすいリモコンと
洗練されたユーザーインターフェースでスマートに使いこなせる工夫が盛りこんであり、未来志向の
商品であることを感じさせてくれます。
また、スマートフォンでも国産スマホはなんでもかんでも詰め込む「すべて入り」至上主義に囚われ
すぎていて、高くて使いにくいものばかりになってしまっています。
私はスマホを持っていません。あのタッチパネル中心の操作体系にはあまり慣れたくないからです。
QWERTY物理キーを備えたスマホとして唯一のDocomo L-04C Optimas Chatは韓国LG製です。
おサイフ機能もワンセグもありませんが、その分価格を抑えてあります。
私も「これは欲しい!」と思った数少ないスマートフォンでしたが、CPUが弱い、画面解像度が低い、
国産を応援したいなどの理由で見送りました。
キャリアのDocomoでは「スマホ入門機」との位置づけで販売しましたが、実際にはスマホ中・上級者が
購入し、「root化して骨までしゃぶりつくせるスマホ」として愛用しているようです。
今の日本の電気製品はわけのわからない機能をてんこ盛りにして価格を吊り上げるものの、
客が求めるものとは方向性が全然違うためにまったく売れていないのが実情です。
少し前のまだ景気が今ほど悪くない時代であれば、例えば定食でも「特上」「上」「並」と書かれていれば、
つい「上」と言ってしまうのが日本人であったと思います。
ですが景気の低迷がここまで長期化すれば、見栄も張るわけにはいかず「並でいいよ」となります。
台湾・韓国・中国の商品展開は上手いと思います。
「並」の商品を大量に作り、だからといって客が引け目を感じることのない商品を作ります。
そして「特上」「上」クラスの商品は、当然客が所有する満足感が得られるものを作ります。
例えばパソコン。
「並」クラスの商品を予算がないために買わざるを得ない人たちでも、チープさを感じさせない作りです。
「ネットブック」というカテゴリーの商品は、本来は後進国の低所得者層向けに作られたものですが、
「モバイル用の軽量でバッテリ運用時間の長いPC」というコンセプトを持たせて、使っている者に引け目を
感じさせないような工夫をしています。
実際ネットブックをメインに使っている人はPCリテラシーの高い人が多いようで、「あいつPCマニアだ」と
思わせるところさえあるのは、前述の低価格スマホ「L-04C」と共通するものがあります。
ところが日本メーカーはA4オールインワンのノートPCが主流で、しかも高価です。
「特上」「上」の商品づくりをしているのでしょうが、マニアと呼ばれる人たちが「おっさんPC」と呼ぶ
ジャンルの商品をいまだに主力製品に据えています。
同価格帯での台湾・韓国・中国製品の主流はウルトラブックになり、デザインも優れ高機能なものに
なっています。
周回遅れで日本もウルトラブックに参入し始めましたが、PC業界での1年の遅れは致命的です。
日本の家電・情報機器製品の魅力は年々落ちています。
「次に陥落するのは自動車だ」と言われています。
電気自動車が主流となれば、ますます単純組立産業になるため、南アジアや南米・アフリカも
この分野に参入してくるでしょう。価格競争にもつれこめば負けは確実です。
「じゃあどうすればいいんだよ!」と、言われても、それがわかれば私がそれらの企業の社長さんに
なってますって(;´▽`A``