などと、大げさなタイトルをつけていますが、単に棚から出しただけです(;^_^A
デジタルカメラの定義はいくつもあると思いますが、
「半導体メモリに画像を記録する」
「液晶ビューファインダーがある」
という、今のデジカメの特徴を備えた世界初のデジカメがこのCASIO QV-10
(←WikiPediaへのリンク)です。
1995年3月に発売されましたが、発売当初は爆発的な人気でなかなか手に入らず、私は1995年の夏に
ようやく手に入れることができました。
当時の価格は65,000円(税抜)で、ヒット商品だったため、値引きはあまりしてもらえませんでした。
【CASIO QV-10正面】
正面右側にあるのがレンズ・CCD部で向こう側にくるりと180度回転し、自分撮りができます。
【CASIO QV-10背面】
液晶ビューファインダーがついています。
3年ほど使っていたので、ここに写っているのは1998年頃の猫の「こむ爺」です。
撮像素子はCCD25万画素、記録画像の解像度は320×240ドットととても荒いものでした。
記録枚数は最大96枚で、単三電池4本で駆動します。
SDカードやCFカードなどメモリカードの使用はできませんでした。
パソコンへの画像の取り込みは専用ケーブルでRS-232Cに接続し、専用ユーティリティから
読み込むものでした。
画像形式はCAM形式という独自のものです。
【QV-10で自分撮り】
左側のカメラ部が手前に向いています。
この状態で自分撮りができます。
当時は写真を簡単にPCに取り込む手段はあまりなく、フィルムカメラで撮った写真を高価なスキャナで
読み込むのが一般的でしたが、QV-10の登場で、簡単に写真を撮りPCに転送し、ホームページに
写真を貼り付けることが可能になりました。
驚いたのは14年も電池を抜いた状態で放置してあったQV-10のメモリの中に、当時撮ったこむ爺や
くりちゃんの写真がしっかり残っていたことです。
フラッシュメモリのデータ保持能力の高さに驚きます。
これらの写真をPCに取り込みたいのですが、最近のPCはRS232Cポートがないために、
USB-RS232C変換ケーブルが必要となることです(実売2000円程度)。
今やケータイやスマホの内蔵カメラでも数百万画素が当たり前になっているので、このQV-10が再び
活躍することはないでしょう。
しかし、当時はこのデジカメで現場の写真を撮ってメールで送ったり、テレビに写して安全教育に
利用したりととてもよく働いてくれました。
このQV-10を作ったカシオ計算機は、スゴいものを作ったのにもかかわらず、当時の経営幹部は
「こんなキワモノ売れないだろう」と、新製品発表会では、新型のレーザープリンタの発表のおまけに
発表させたそうですが、取材していた記者たちはQV-10に激しく興味を持ち、急遽QV-10の説明を
詳しく行ったということです。
それまでも多くの企業が電子スチルカメラを発表しては営業的に失敗していただけに、カシオの
経営陣も消極的になっていたのですが、QV-10は撮って、その場で見て、さらにPCで活用するという
新しい使い方を提案したおかげで大ヒット商品になりました。
このQV-10は今年9月に国立科学博物館の未来技術遺産に認定されました。
すでにこの世にいない、こむ爺とくりちゃんの写真がまだQV-10の中で生きていました。