「紙の発明」に匹敵するインパクト――新型iPadは、これから奇跡を起こす…IT Media +D mobile
新型iPadが登場して私が驚いたのは、何よりもその画面解像度の高さでした。
私が常用しているネットブックASUS EeePC 1000の10.1インチの画面解像度が1024×600ドットなのに対して、新型iPadはほぼ同じ大きさの画面サイズで2048×1536ドット。倍以上の情報量です。
264ppi…pixel per inchで1インチ(約2.5cm)に264個のドットが並ぶので、ひとつのドットの大きさは0.1mmです。
今でこそレーザープリンタは1200dpi(dot per inch)や2400dpiの解像度を誇りますが、初期のレーザープリンタは240dpiだったことや、カラー印刷ならいまだに3原色(厳密には黒やその他の特色を使いますが)のドットを複数並べて色を表現することを考えると、もはや新型iPadに表示される情報は印刷物そのものと言っていいと思います。
このクラスの解像度のディスプレイは、実はケータイやスマートフォンでは当たり前になっているのですが、この画面サイズでこの解像度のコンシューマー向け商品は初めてではないでしょうか。
このくらいディスプレイにこだわった商品を出してきたAppleはさすがです。
WindowsノートPCはいまだにWXGA(1366×768ドット)の解像度が主流で、しかも色再現性と視野角に劣るTN液晶が主流です。コストダウンのためにディスプレイの品質はあまりよくありません。
iPadシリーズは色再現性と視野角の広さに優れたVA液晶を使っており、このあたりのこだわりもさすがです。
新型iPadは私にとっては高いです。でも、その商品価値を考えると、これはとんでもなく良心的な価格設定です。
電子書籍のネックは単機能端末の価格の高さと、ディスプレイの性能の低さから来るマンガや写真集などの表示品質の悪さ、くわえて日本では書籍そのものの価格設定の高さから来るお得感のなさが普及の妨げとなっていました。
新型iPadはCPU性能も高いため、マルチメディアコンテンツはもちろん、3Dゲームのクオリティも高いものが提供される見込みです。
電子書籍端末のみならず、家庭用ゲーム機、ケータイゲームも駆逐する恐れがあります。
惜しむらくは、この超絶液晶ディスプレイは韓国サムスン製であるということです。
液晶は日本のお家芸であったのは昔の話です。
新型iPadの第2ロットからは韓国LG電子やシャープも同等の液晶を供給することになっていますが、やはり日本の液晶メーカーは後塵を拝していると感じざるを得ません。
この手のタブレット型端末は日本ではかなり昔から作られていました。
ハードウェアが貧弱で、タブレット端末にふさわしいソフトウェアもなかったためにニッチな商品でした。
iPhoneなどのスマートフォンの先祖であるPDA(携帯情報端末)は日本のほうがハードウェア面では優れていましたが、PDAと携帯電話との融合は携帯電話キャリアや総務省などの大企業や官僚の既得権益の保護が優先されて実現はされませんでした。
昔は日本が世界をアッと驚かせる商品づくりをしていたのですが、今はスマートフォンやタブレット端末など、外国がそのような商品を作り市場を席巻してから、慌てて日本が後追いするということばかりですね。