3月11日に発生した東日本大震災では、地震による直接被害もさることながら、同時に発生した巨大津波による被害が甚大なものになりました。
こちらでは震度4でしたが、大きな長い揺れは地震波のS波特有のもので、「遠くで大きな地震が起きた!!」と直ちに事務所のテレビをつけました。
3月9日にも宮城沖を震源とする大きな地震(最大震度5弱)があり、その時もこちらは震度3の揺れを感じていたので「宮城沖の本震か?」と思いましたが、近い将来起こるであろうと予測されていた宮城沖地震よりもはるかに大きな東日本大震災となってしまいました。
情報網の発達のおかげで被災状況がリアルタイムでTVに映し出されていましたが、巨大津波が東北沿岸を襲う様子も映し出されていて、これは果たして現実なのか?という気がしました。
巨大津波=沿岸部の原発事故、とすぐに宮城県の女川原発の状況が気になりましたが、女川原発は実は無事で、深刻な事態が福島第一原発で起こることは、地震の時点では想像していませんでした。
なぜ原発が気になったかというと、2007年7月16日に発生した新潟県中越沖地震の際に柏崎刈羽原発で深刻な被害を受けたという事実があったからです。
この地震の時には原子炉は安全に停止し、変圧器の火災が発生しましたが、こちらも安全に消火されました。放射性物質の環境への漏洩はありましたが、極めて微量でなんら問題はなく、むしろ耐震設計をはるかに超えた地震の加速度にも耐え、安全に原子炉を停止させたことで、日本の「原発安全神話」をより強固なものにしてしまいました。
柏崎刈羽原発が福島第一原発と違うのは、原子炉も設備も新世代のものであり、耐震基準もより厳しくなっているということです。
柏崎刈羽原発は1985年から1号機が運転を開始し、1997年に最新の7号機が運転を開始しています。原子炉は純国産のもので、発電規模は世界最大のものです。
しかし、津波対策に関しては福島第一原発事故の事例より不十分であることが明らかになりました。
新潟県に住んでいるということは世界最大の原発プラントが存在する県に住んでいるということです。
福島第一原発の話に戻ります。
原子炉にただならぬ事態が起こっていることが報道されたのは地震発生当日の夕方6時頃だったと思います。「原子炉の冷却ができない状態が続いている」という報道だったと思います。
私は燃料の一部溶融などはあるかも知れないな…と思いました。アメリカのスリーマイル原発事故と同じくらいの深刻な事態になるかもしれないと思っていましたが、その程度で食い止められるだろうと思っていたのは、日本の技術力と危機管理能力をまだ信じていたからです。
[この項続く]