12月13日(火)

 

冬ですから

カフェをクローズする頃は、

もう外は真っ暗です。

 

突然、激しい車のクラクションが!

外を見ると、

背中がすっかり丸くなった

おばあちゃんが、

渋滞の車道を歩いています。

「あれはやばい!」

 

急いで外に出て、

車の流れを止めて、

先ずは反対側へ渡りました。

 

歩道は雪道で狭いから、

車道を歩いてきたのか、

道を渡ろうとしたのか。

 

ちゃんと、コートを着ています。

カバンをたすきがけでしています。

右手に小さなカバンも持っています。

 

「どこまで行くの?」

「息子の家まで、事故があったらしく

今は大変なんだ」

そうか、今はその感じか!

これはかなり焦っているなあ。

 

「暗いし、雪滑るから一緒に行くよ」

「家はわかるの?」

背中が90度に曲がっているから、

視線は、手前5mくらいか・・

歩道の両脇は雪山、

真っ暗で建物も見えません。

 

「住所わかる?」

すると、左手に小さな紙を

握っているではないですか!

住所が書いてある、

しめた!なんと素晴らしい!

 

西区西町○○・・

これは割と近いぞ。

よかった、何とかなりそうだ。

 

おっとー、気付くと

ずんずん歩いて行くではないか。

しかも反対方向。

説明しても、

「いや、あっちの方だから!」

もちろん言っても聞くわけがない。

「わかった、一緒に行くよ」

 

カフェに残っていたお客さんが

フォローに来てくれました。

私はサンダルだったので(笑)、

ちょっとお客様におばあちゃんを

お願いしました。

 

お客さんが優しいお兄ちゃんで良かった。

コンビニの駐車場まで誘導、

その間に私が車を出して

上手く車に乗ってくれました。

(かなり省略していますが、

お客さんの必死の口説きが

素晴らしかった!)

ナビがあるのでもう安心。

 

着きましたよ。

なんと・・・・ご本人のご自宅です。

まさかの「振り出しに戻る」です(;_:)

おばあちゃんが納得する訳も

ありません。

 

そうなんです。

紙の裏側に息子宅の住所が(笑)

 

そうして、たどり着いたのは、

大きな大きなマンション。

オートロックで、しかも

背中の曲がったおばあちゃんは、

インターフォンにすら届きません。

ちなみに、モニターの視界にも

入らないので、

最初はお嫁さんが

私を不審がっていました⤵⤵

 

オートロックのドアが空き、

エレベーターに乗るおばあちゃんを見送り

ホッと安堵のため息を。

 

あの住所の書いてある紙に感謝。

惜しいのは、電話番号も欲しかった。

 

車の中で私は

「お嫁さんには電話したの?」

と聞くと、

「いや、心配するから黙って出てきた」

そうですよね、

言ったら必ず止められるから。

その通りだと思います。

 

おばあちゃんは

どんな気持ちで雪道を歩いてきたかな。

心配していた事の真実はわかりません。

でも、冬でも夜でも関係ありません。

息子を心配したから

出かけてきたのですよね。

それだけが真実だと思います。

 

<2016.12.13ふうしゃ>

By S