納豆やきそばをYouTube撮影用につくったのだが、動画だけ撮って静止画を取り忘れたのでもう一度つくるはめに。

 

 

 

実は、洗脳のシーンを書くのは得意分野だ。何度も書いている。一番最初は『天上のシンフォニー』という小説でボブ・スティーブンズというカルト・リーダーがミカエラ・ママネという人物を洗脳する場面だったのだが、結局それはボツになった。アンソニー・モーガンという強力な悪役がいたので、悪役は一人に集中させたほうがわかりやすいという編集者の意見があったからだ。

 

ということでボブ・スティーブンズは物語から抹殺され、誰一人その存在を知らない。

 

僕は結構気に入っていたんだけれどな。彼はカリフォルニア州ナパバレーにあるフリーセックス・カルトの教祖だ。

 

ナパバレーといえばワインの産地として有名だがなぜナパバレーを選んだかというと、サンフランシスコにある統一教会がそこで泊まり込みセミナーを開いていて僕も誘われたことがあったからだ。

 

4年間のイギリスでのニューエイジ漬け生活を終え、日本に帰る途中、アメリカに二ヶ月だけ寄った時のこと。

 

サンフランシスコではいろいろ面白いことがあった。もちろん、カウンターカルチャーで有名なヘイト・アシュベリーにも行ったし、牧師がギャンブルで資金を稼いでいるというわけわからない教会に行ったり。そんな中、街中を歩いている時に統一教会から勧誘を受け、話を聞きに行ったのだ。

 

もっとも、この時が統一教会との初めての遭遇ではない。このずっと以前、十代後半の時に統一教会からすでに勧誘を受けていた。10回ぐらい会って話を聞いたが、結局僕の満足いく回答を彼らは出すことができず、諦めて帰って行ったのだ。僕は当時モルモン教の宣教師とも数多く対談していたし、エホバの証人の信者とも話をし、新興宗教というものにかなり慣れていた。理想社会をつくること自体が僕の夢だったので、人間はどのように生きるべきか、社会はどうあるべきかに関して自分なりの考えも持っていた。

 

そして、イギリスでの4年間で僕の哲学的な知識は高校時代の何十倍にも達していた。

 

サンフランシスコでの勧誘者は僕よりも若かった。僕が当時25歳ぐらいだったので20代前半だったと思う。

 

話にならなかった。

 

あまりにも知識の差がありすぎて、結局1時間ほどのやりとりの後で彼はこれ以上何も言うことができなかった。

 

ただ、彼と話す前に講演会のようなものがあり、それがナパバレーでのセミナー合宿の説明会だったのだ。美しいスライドを流しながらとてもよくできたプレゼンで、ナパバレー自体には行きたいと思った。

 

結局ナパバレーには行くことはなかったが、何十年も経った後で小説のモチーフになったのだ。

 

まあ、洗脳に関してはアンソニー・モーガンのシーンとして書くことになったのだが。

 

考えてみたら、先生やユグドラーのトークも洗脳といえば洗脳のようなものだが、味方だからそう感じないだけで、アンソニー・モーガンから見たら、主人公たちは彼らに洗脳されたことになる。

 

そしてもちろん、『百姓レボリューション』シリーズにも登場する。

 

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