人格の根底に、理念の法、理念の真理を認識することは、哲学の本質である。


 カントは、人格の根底には、自律すべき「永遠普遍の道徳律」が実在すると説き、これが徳の根源であると述べている。


 このカントの「永遠普遍の道徳律」は、永遠であり、普遍であるから、古今東西の人類のあらゆる哲学・思想・宗教において共通項を持つ真理でなくてはならないであろう。


 この徳の根源としての「永遠普遍の道徳律」を説いたカントの『実践理性批判』は、ルソーの『エミール』なくしては、無かったものである。


 すなわち、ルソーの道徳哲学こそが、近現代の道徳の根本に実在するのであり、ルソーが近代最大のモラリストと言われる所以である。


 また、エマソンの徳の真理の思索も、「永遠普遍の道徳律」について様々に思索している。このように、イデアの実在する所、「永遠普遍の道徳律」は実在し、要請されるのであり、徳の描かれる所、「永遠普遍の道徳律」は実在するのである。


 このエマソンは、近代のマルクス・アウレリウスであると言われるように、エマソン哲学の根底には、ストア哲学があるのである。同様に、カント哲学の根底にも、ストア哲学の徳の倫理学があるのである。


 このように、ストア哲学の根本には「永遠普遍の道徳律」があるであり、それが、近代においてルネサンス・新生されて、ルソー、カント、ヘーゲル、エマソン、西田幾多郎、福澤諭吉等の道徳哲学となっているのである。


 その根源は、プラトン哲学、及び、ストア哲学の道徳哲学にあるのである。

 

 

 

 

 

 

 

    天川貴之

(JDR総合研究所・代表)