バッカス | コラム・インテリジェンス

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透き通るような心が…ほしい…。

バッカスというチョコレートがある。
センター部が空洞になっていて、そこにコニャックが内包されている。
バッカスはアタリマエに酒の神様である。(アリス・ミルズ「世界神話大図鑑」)
コラム・インテリジェンンス「生き死に 」
「田舎の人」は他人の家に男の子が生まれても一緒に祝う。
その子が5歳になれば凧揚げをして祝うらしい。
「凧揚げのあとは酒宴である。それはほんとうにバッカスの酒宴で、酒は泉とあふれ、肉は林とうずたかく、その間をパーンの群れがニンフの群れを追い回すのである。」(寺田寅彦「田園雑感」)
パーン──野暮で粗野な牧童・農夫。ときに人類そのものを指す。
ニンフ──新婦・花嫁、ときに神とも人間とも交わって半神を産み落とす比較的地位の低い女性たち。
幸か不幸か4代目の江戸っ子に当たるので、田舎の酒宴は想像もつきませんが、想像するにもおぞましい光景が繰り広げられていたという事実は、そこに歴然と記されているようです。
「ある豪家の老人が死んだ葬式に、ある男は十二分の酒を飲んで帰る途中の田んぼの道で、連れの男の首っ玉にかじりついて、『今夜ぐらい愉快に飲んだ事は近年にない』という事をなんべんもなんべんも繰り返しながらよろけて歩いていた。これなどは最も徹底的な『田舎の人』の一例であろう。」(寺田寅彦「田園雑感」)
田舎の人は素直なのでしょう。田舎の人は純粋なのだとも思われます。
「危険な病人の枕元へはおおぜいの見舞人が詰めかける。病人の頭の上へ逆さまに汗臭い脂ぎった顔を差し出して、むつかしい挨拶をし難しい質問をしかける。いっそう親切なのになると瀕死の人にイヤガラセを言う。そうして病人は臨終の間際まで『田舎の人」の親切を身にしみるまで味合わせられるのである。」(寺田寅彦「田園雑感」)
寅彦の思い出の中には、よっぽどひどい「田舎の人体験」が刷り込まれているのかも知れません。
そうでもなければこれほどに「田舎の人」に対しての文言を書き連ねられる神経が理解できないような気もしないでもないのです。
が、現代は、このような人々の何人かが都会で暮らしている。
田舎の人と都会の人とのギャップは民族的なそれよりも、宗教的な、あるいは政治的なそれよりも難しいことになっているのかも知れません。