これは私の人生初のブログです。

 

初めてのブログ、何から始めようかと考えているうちに時間だけがたっていきました。でも昨晩については、どうしても書かなくては。

 

3月22日、19時。ルドルフ・ブッフビンダーのピアノ演奏会はベートーヴェンの後期のソナタ3曲、30番、31番、32番。

長い間、演奏会にもピアノにもベートーヴェンにもほど遠い世界でもがいていた私に、衝撃的な感動を与えてくれたひととき。まだ若かったころ、どっぷりと音楽に浸っていたあのころに時はよみがえった。

 

ブッフビンダーの円熟のタッチは時に柔らかく、ときに激しく、ホールに響き渡り、ベートーヴェンの最後にたどり着いた世界がまざまざと広がっていく。3曲はほとんど休みなしに弾き続けられ、その世界観は雄大にしかも優しく、聞き手を包み込む。

どの曲も甲乙つけがたく素晴らしい演奏で、30番の最初の1音から私は引き付けられ、とりこまれた。もう批評の言葉などいらない。ただうっとりとその音楽に酔うだけだ。この至福の時を持てた幸せを感じながら。終わらないでほしいと願いながら。

 

ここまで来るのは本当に大変な道のりだった。音楽を純粋に楽しめた学生時代には予想もしなかった様々な体験。自立への長い道のり、迷路のような子育て、手ひどい裏切りと経済危機、大切な人の介護と見送り。走馬灯のようにめぐる苦しい想いは、この時まさに帳消しになった。こんなすばらしい世界があったのだ。またこのような時を持てますように。帰り道、こう思った。

 

ここまで読んでくださった方、これからはその大変なことなども交えて、日常感じたことなどを書くつもりです。どうぞよろしく。