★年明け早々から
あれこれと出回りが多く
なかなか
ブログタイムを楽しめておりませんが、
仕事も程々にしなきゃイカンですネドクロ




…そんなわけで、

この世には、誰しも

自分にとっての
「おもしろい映画」と
自分にとっての
「おもしろくない映画」しか存在しません。



映画の作り手の方には、
誠に恐縮この上ないと承知のうえで、
年度末恒例、
2014年の洋画MYベストテンをチョイスしました。



…毎度おなじみの切り口上ではありますが、
2014年の節目として
美味なる特選料理を選ばせていただきました。



早いもので、
こちらのブログに寄せていただきまして
もう5年ほど経つんですネ。



パイルの記事はまったく進化しておりませんが、
ここ5年で映画はずいぶんと進化しておりまして
ただ進化し過ぎた分、
何か肝心なものを置き忘れてきたようにも思えますネ。



2014年の洋画は、
ひと言で申してしまいますれば
此方の期待値が高過ぎたせいもありますが、
意外と小粒、中粒くらいのものがズラリと並んで
核になるものが乏しい1年だったと思います。



もちろん見逃しも多々ありますが、
ワタクシめの公開作のレビューが、
ガクンと落ちましたのは、



陽性のエボラ、、、じゃなくて、
慢性のズボラに加えて
あえて取り上げるに足らずという
勝手な思いによるものです。



ご存知の通り不埒な野郎なんです、
このパイルという男。ドクロ

おかげで、良きにつけ悪しきにつけ、
かつて取り上げていなかった秀作を次々と
記事に出来た年でもありました。



エクスキューズが長くなりましたが、

果たしてよかったのかわるかったのか?
そんな年度決算でございます。






★BEST10 OF THE 2014



僕が全ての作品に付けている★マークによる採点は、
作品単体での完成度やストーリー密度、キャストに対する採点です。
順位とは関係ありませんので念のため。
★が多ければ多いほど上位という意味ではありません。





①ピオ司祭



★★★★

■Padre Pio(2000・イタリア) 
監督:カルロ・カルレイ
キャスト:セルジオ・カステリット ユルゲン・プロホノフ



『イタリア映画の豊穣の深味を感じさせた堂々たる作品。

民衆に慕われ、教会上層部には睨まれた
不審なる霊能を兼備した僧侶の生涯の物語。



3時間を超えるTVのミニシリーズだと言うが、
たまたまWebで観る機会を得て、
その品質と語り口の巧緻に目が離せなくなった。



未公開も納得の、地味な作風ながらも
近年激減した見事なイタリアの文芸作であり、
その卓越した“やさしさ”の描き方に感涙。

今さらながらヨーロッパの宗教と伝導師について
思いを巡らした。



日本語の“丁寧語”の美しさを強調した
岩田拓靖氏による字幕が絶品』





②アデル、ブルーは熱い色



★★★★

■La vie d'Adèle – Chapitres 1 et 2(2013・フランス)
監督・脚本:アブデラティフ・ケシシュ
キャスト:アデル・エグザルコプロス レア・セドゥ
 


『フランス映画が久々にキラリと輝いた。

賛否分かれた作品らしいが、そんなことなどどうでもよい。
これは傑作と呼ぶべき無垢なる心を持つ一編。



いかにも脆い、若き女性同士の愛のアンバランス。
若き男女にもあてはまる愛情と性愛の混濁を、
鋭敏な感受性の中で描ききった監督の才気と映像感性、
そして主演女優2人の息遣いに魅せられた。




今年公開された作品群の中で、最も重要な妖麗なる1本であり、
忘れ得ぬ見事なビジュアルと
青々としたロマンスの妙に酔わされる。』




③ジャージー・ボーイズ



★★★★

■Jersey Boys(2014・アメリカ)
監督:クリント・イーストウッド
キャスト:ジョン・ロイド・ヤング エリック・バーゲン 
     クリストファー・ウォーケン
 


『昨年公開のアメリカ映画の中では
最も心に残った1本。
感涙の噂に、しっかり構えて観ていたが、あっさり泣かされた。




自分の好みと気分が完全にフィットしたと言うべきか。

不良上がりのザ・フォー・シーズンズの栄光と挫折、
ヒットミュージカルの映画化だからゴテゴテかと思いきや、
気負いの一切無いイーストウッド御大の余裕を感じさせる
力を抜いたシンプルな演出の心地よさと、
流れる音楽の心地よさに尽きる。



折しも、「ファントム・オブ・パラダイス」の
オールディーズを思わせるファーストシーンを
称賛した後に観たこともあって、妙に嬉しくなった。



何しろ、観終えた後、
すぐにもう一度観たくなったのはこの作品のみ!』





④グランド・ブダぺストホテル



★★★★


■The Grand Budapest Hotel
(2014・ドイツ=イギリス)
監督:ウェス・アンダーソン
キャスト:レイフ・ファインズ エイドリアン・ブロディ 
     F・マーリー・エイブラハム ウィレム・デフォー 
     ジュード・ロウ ハーヴェイ・カイテル レア・セドゥ


『この端麗な映像絵画の世界観は絶品!



ウェス・アンダーソン監督は、かつて
「ザ・ロイヤル・テネンバウムズ」で見せたアート感覚を
更に飛躍させている。
明らかに進化し続ける現代の不思議監督のひとり。



よくぞ集めたりの新旧オールスターキャストも圧巻だが、
俳優陣がしっかりこの映像絵画に馴染んで
グラフィック化しているところが見事。』








⑤アメリカン・ハッスル



★★★★

■American Hustle
(2014・アメリカ)
監督:デヴィッド・O・ラッセル
キャスト:クリスチャン・ベイル ブラッドリー・クーパー
     ジェニファー・ローレンス エイミー・アダムス


『ペテン師のふざけた事件を
極めてシリアスに見せつつ、
その実、男と女の関係にスポットを当てた大人のドラマ。



この監督のひねり技に気づかなければ
凡作とも受け取りかねない、匠の裏技の如き1本。

嘘か真実か?

人が心に思う事など、相手には永遠にわからない。
ペテン師たちの悪辣な所業の中で、
男と女の間の小さな嘘と歪んだ真実を
丁寧に浮かび上がらせていく監督の技量に感服。



大人なればこその思わぬ笑いを織り込むその呼吸の妙技、
70年代の時代の空気を丸ごと再現してみせたセンス。



俳優たちの、重量とツボを押さえた芝居も心地イイ!
特にジェニファー・ローレンスが極上の存在感♪』









⑥ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅



★★★★

■Nebraska
(2013・アメリカ)
監督:アレクサンダー・ペイン
キャスト:ブルース・ダーン ウィル・フォーテ ジューン・スキッブ



『まずこの映像の美麗さよ、素晴らし過ぎる。
名品「ストレイト・ストーリー」以来の
錆びれた老人のロードムービーに、家族の想いと絆が絡む。



他愛もなき地味なストーリーである。
しかしここで重要なのは
老人は何を失い、何を手に入れるかということ。
そのさりげなさがいい。



中心に“お金”を据えたところに思わぬ奥行きがあり、
そこに群がる賤しき人物群の描き方にニューシネマ風の
リアリティが漂う。



悪役を散々やり尽くし、
今や老いさらばえた枯れ木の風貌を得たブルース・ダーンが、
経年劣化を孤愁の味わいに変え、
ドライアップした老人の立ち姿を映像に深く刻み込んだ。



オスカーにもノミネートされた、
妻役のジューン・スキッブが絶品。』









⑦フュ―リー



★★★★


■FURY(2014・アメリカ=イギリス)
監督:デヴィッド・エアー
キャスト:ブラッド・ピット シャイア・ラブーフ 
     ローガン・ラーマン マイケル・ペーニャ




『戦車だ!圧倒的に戦車だ!
この映画は
子供の頃プラモデルで憧れた戦車そのものなのだ。



しかし、
そんな懐古の情に浸っている場合ではないくらい
激しいドラマを叩き付けてきて、疾風怒濤の展開に息を呑む。



戦争の艱難辛苦、悪意と憎悪を
露骨なまでに具体的に見せて、極限の臨場感を出した。
デヴィッド・エアー監督の挑発的なスタンスには恐れ入る。



今の時代に何故、第二次大戦?と尋ねるなかれ、
ここに再現される戦車隊の戦闘風景は
現代社会の会社組織同士が食い合う構図そのものでもある。



そこに人の心が必要かどうか?映画は観る者にそれを問う』





⑧猿の惑星:新世紀



★★★★

■Dawn of the Planet of the Apes(2014・アメリカ)
監督:マット・リーヴス
キャスト:アンディ・サーキス ジェイソン・クラーク ゲイリー・オールドマン 





『このシリーズの根幹にあるのは、
人間が先か?猿が先か?というシンプルなもの。



これを拡大解釈することで、
エキサイティングなドラマを創り上げる。
第1作が共存のきっかけとなる“トラスト”をテーマに
事の発端を見せて、
今作は対立を立体化して“WAR”をテーマにした。



次作のテーマは友好?へと進むのかどうかは不明だが、
旧シリーズの衝撃性とは
また趣向の異なる科学理念を中心にした完成度の高さが魅力。』






⑨ベイマックス




★★★★


■Big Hero 6(2013・アメリカ)
監督:ドン・ホール クリス・ウィリアムズ


『予告のイメージから癒し映画かと思いきや、
秀逸なヒーロー映画!
その心地よい裏切り感が、逆に気分を高揚させてくれた。



現代アニメーションのクオリティが高いのは当然ながら、
やはりドリーム感が尾を引くファンタジックな作品には
いくつになっても心魅かれるものだと
改めて思い知らされる。
衰えることなきディズニー魂、恐るべし!



ましてやロボット好きとしては、手もなく引かれる世界観。
わかりやす過ぎる見せ方は微妙ながらも、楽しめないわけがない。



俳優の海外進出をはじめ、
日本リスペクトの作品も近年増えてきたが、
元ネタは、日本を舞台にしたアメコミのバトルものらしい。

どこかドラえもんをベースにしたような設定が、大いに成功している』








⑩シャウト



★★★★


■THE SHOUT(1978・イギリス)
監督・脚本:イエジー・スコリモフスキー
キャスト:アラン・ベイツ ジョン・ハート スザンナ・ヨーク


『さて10本目は、パイルらしく
危険な作品を1本挙げておきたい。

最近では「エッセンシャル・キリング」が鮮烈だった
奇才スコリモフスキー監督作。



既にソフト化されてもいるようだが、
昨年ミニシアターで公開されて、客入りもイマイチだったのか
特に話題にもならずあっさり埋もれてしまった。
それも当然の不条理感あふれる挑発度数高めの作品。

しかし、これは観たら凄絶なインパクトを受けること必至!



叫び声で人を殺すことが出来るという暑苦しいオッサンが
ある夫婦の家に入り込んで、一宿一飯どころか
しっかりと居座り、えらそうな態度で振る舞い始め
挙句に妻を寝取る。



男のえげつない欲望と、隙を与えた際の女の身持ちの悪さ。
この鋭い現実直視こそがスコリモフスキー!



派手に絶叫するオッサンの姿に何を見ればよいのか…?
どこまでもパイルのために作られたようなややこしさ満載。

と言えば、映画の雰囲気はわかってもらえますでしょうか?』







■総括しておきますと、
『ホビット 決戦のゆくえ』は上位必至ながら、
これは同じくシリーズものの『猿の惑星:新世紀』との競合で、
僕の好みの「猿惑」を選んだのでやむなく割愛、



ディカプリオが演技派転身に躍起になっている中で
力量を見せつけた『ウルフ・オブ・ウォール・ストリート』も、
ウディ・アレン映画というよりも、
ケイト・ブランシェットの演技力必見映画『ブルー・ジャスミン』も
入れるかどうか迷った末に割愛。



どうしても、マニアックなミニシアター公開の「シャウト」を
入れておかないと、パイル色を出せない2014年の作品群と
なりそうなので、こんなチョイスになってしまった。

これはこれで、ま、いっか=というところ。




パイルD-3の2014年は
こんなん出ましたが、

みなさまの昨年の“MY”ベストテンは
いかがでしたでしょうか。


ヾ(@°▽°@)ノ








●毎度グダグダの拙文ごときに
ウレシきコメントを戴いております全ての皆さま、

名レビューを書かれていて
観遊の参考にさせていただいております全ての皆さま、

ここを覗いていただいております全ての皆さまに、
この場をお借り致しまして、
あらためまして心より御礼申し上げます。



昨年も、ブログおサボりが多かったのですが、
2014年も楽しい映画のお話、ありがとうございました。

姿の見えないバーチャルエリアといえども、
お酒を垂らした珈琲を手にしてのご近所づきあいは、
心安らぐ憩いのひと時であります。


2015年度も、またユルいお付き合いのほど
ヨロシクお願い申し上げます。
m(_ _ )m





■THE SHOUT叫び