![](https://stat.ameba.jp/user_images/20140908/23/columbo22/cf/48/j/o0189026713060835970.jpg?caw=800)
・カンヌ審査員特別賞を獲得した「パパ/ずれてるゥ!」で
冴えない父親を演じたのはバック・ヘンリー。
俳優としてよりも脚本家として有名な人。
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20140909/00/columbo22/3a/29/j/o0198025513060918955.jpg?caw=800)
脚本作を中心に俳優業、
あるいはプロデュース、監督までこなす多芸多才な人物。
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20140907/21/columbo22/aa/84/j/o0343014713059601475.jpg?caw=800)
「卒業」の脚本で注目されて、マイク・ニコルズ監督と意気投合、
ベストセラーとなったジョセフ・へラーのブラックユーモア小説
「キャッチ22」の脚本に参加し、映画化を成功させた。
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20140908/23/columbo22/50/00/j/o0347014513060837401.jpg?caw=800)
悲喜入り乱れた複雑でややこしい展開の風刺劇で、
当時、映画化困難な小説と言われていた「キャッチ22」を、
巧みな映像化へと導いた功労者でもある。
しかもこの作品、フロントインジェクション以外、
CGを全く使っていないのがスゴイ。
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20140907/21/columbo22/30/00/j/o0342014713059598318.jpg?caw=800)
その「キャッチ22」は、
同時期の戦争風刺劇「M★A★S★H」とよく比較されて、
コメディという表記をよく見かけるが、これは大間違い。
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20140907/21/columbo22/87/b9/j/o0342014713059614566.jpg?caw=800)
ロバート・アルトマンのPOPな才気が炸裂した軍隊乱痴気騒ぎの
「M★A★S★H」とは、まったくポイントが異なる。
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20140908/23/columbo22/d5/98/j/o0351014413060835971.jpg?caw=800)
同じ軍隊風刺でも、テーマはもっとシリアスなところにあって、
戦場を舞台に、“常軌を逸する”ということが何なのかを、
どこまでもエスカレートさせて、兵士たちのさまざまな精神崩壊を描く。
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20140907/21/columbo22/80/59/j/o0342014713059594922.jpg?caw=800)
この作品は、
チョッと衝撃度の高い内臓ボロリの目を背けたくなるシーンはあるし、
一瞬目を疑う、ボディチョッパーの切株ホラー並みの強烈シーンも登場する。
どっちかと言うと、
お笑い薄めのクレージーなヒューマンドラマと言い切ってしまいたい。
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20140907/21/columbo22/09/96/j/o0272018513059591163.jpg?caw=800)
こんな浮き沈みの激しいストーリーに、娯楽の要素も詰め込み、
危険な独特のスパイスを効かせたバック・ヘンリーの叡智には
恐れ入る。
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20140907/21/columbo22/29/a9/j/o0342014813059594921.jpg?caw=800)
時間軸をバラバラにした構成や、
シニカルな幻夢がインサートされる展開は、
カート・ヴォネガット・Jrの「スローターハウス5」の
世界観に近い。
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20140909/00/columbo22/f5/88/j/o0267018913060918954.jpg?caw=800)
●CATCH-22(1970・アメリカ)
監督:マイク・ニコルズ
原作:ジョセフ・へラー 脚本:バック・ヘンリー
撮影:デヴィッド・ワトキン
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20140907/21/columbo22/c8/a2/j/o0185027213059589786.jpg?caw=800)
・黒字に白抜きというシンプルなタイトルロールに
スタッフ、キャストの名前が出て、その真っ暗な画面に
時折、遠くで吠える犬の鳴き声や鳥のさえずりが
聴こえる…。
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20140908/23/columbo22/4e/0a/j/o0344014613060836679.jpg?caw=800)
うっすらと島の稜線が浮かび、
いきなり轟々と唸る爆撃機のエンジン音が響き始める…
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20140908/23/columbo22/0f/21/j/o0348014513060838078.jpg?caw=800)
闇の静寂から覚めていくような流れのオープニングは、
狂気のドラマの混沌を物語る異様な迫力に満ちている。
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20140907/21/columbo22/43/ac/j/o0342014713059601476.jpg?caw=800)
「キャッチ22」は、
アメリカ軍の爆撃機が群舞する航空基地を舞台に
いつ終わるとも知れぬ出撃兵士たちの苦渋とジレンマを
ブラックな薄笑いの中で見せる異色作。
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20140907/21/columbo22/69/9f/j/o0342014713059598317.jpg?caw=800)
一刻も早く軍隊から逃げ出したいというストレスだらけの
ヨサリアン(アラン・アーキン)という爆撃手を中心に、
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20140907/21/columbo22/5f/62/j/o0346014613059604317.jpg?caw=800)
出撃を繰り返す辛苦を共有する同僚の兵士たちから、
ミリタリズムまみれの軍隊に巣食う戦争中毒症の連中まで、
軍隊に弄ばれる者たちの群像劇が繰り広げられる。
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20140907/21/columbo22/e3/59/j/o0347014513059608591.jpg?caw=800)
当時としてはかなりのオールスターキャストで、
バラエティにとんだ俳優がズラリと顔を揃える。
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20140907/21/columbo22/a4/1e/j/o0343014713059604318.jpg?caw=800)
作品を語るより、この多彩な顔触れを見れば
いかにも、ややこしい映画の一端を
感じてもらえるはずだ。
圧倒的な存在感の、職業軍人の連隊長
マーチン・バルサム
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その腰巾着で権威主義の申し子みたいな副官
バック・ヘンリー
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軍事物資を利用して闇のブローカーとして
ビジネスを画策する中尉、ジョン・ヴォイト
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間の悪そうな皮肉屋の作戦将校
リチャード・ベンジャミン
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20140907/21/columbo22/50/2a/j/o0314016013059613229.jpg?caw=800)
まともそうに見えて気の小さい従軍牧師
アンソニー・パーキンス
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軍規の中に存在する“キャッチ22”の意味を説明する軍医
ジャック・ギルフォード
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イタリアの娼婦と恋仲になるヨサリアンの同僚兵士
アーサー・ガーファンクル
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彼に人生を説く老人が
名優マルセル・ダリオ
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無愛想な巨漢の将軍、
オーソン・ウエルズ
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将軍の秘書らしきセクシー将校
スザンヌ・ベントン
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他にも
真面目で気のいい爆撃手、マーティン・シーン
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20140907/21/columbo22/18/52/j/o0227014313059623534.jpg?caw=800)
何度撃墜されても生き残ってきたボブ・バラバン
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20140907/22/columbo22/aa/0c/j/o0238014113059634189.jpg?caw=800)
夜間外出許可にこだわる爆撃手、チャールズ・グローディン
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20140908/23/columbo22/e1/80/j/o0218013713060838079.jpg?caw=800)
野戦病院の癒し専門看護婦、ポーラ・プレンティス
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20140909/00/columbo22/36/20/j/o0253017413060927177.jpg?caw=800)
最前線に出たことのない少佐、ボブ・ニューハート
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20140907/22/columbo22/e6/1f/j/o0239013613059634188.jpg?caw=800)
将軍にバカ呼ばわりされる娘婿、オースティン・ペンドルトン
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20140907/22/columbo22/4d/a1/j/o0267015413059639809.jpg?caw=800)
激務ですっかりイカレてしまう操縦士、ピーター・ボナーツ
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20140907/21/columbo22/c5/3b/j/o0342014713059614567.jpg?caw=800)
能天気な軍曹、ノーマン・フェル
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20140907/21/columbo22/a4/d7/j/o0346014613059601477.jpg?caw=800)
…といった、芸達者なクセモノたちが
華麗なアンサンブルを繰り広げる。
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20140908/23/columbo22/4c/8f/j/o0347014513060835972.jpg?caw=800)
いきなり主人公がナイフで刺されるという出だしからして、
そこで起こっていることは尋常ではない。
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20140907/21/columbo22/43/e7/j/o0338014913059596966.jpg?caw=800)
さて、タイトルのキャッチ22というのは何の事か?
これが、ストーリーのキーワードになっていて、
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20140908/23/columbo22/ee/a1/j/o0300016813060836677.jpg?caw=800)
「頭がおかしい人間に、自分が正気かどうかなんてわからない。
自分が狂っているとわかるうちは正気だ」
という、頭の方で登場する軍医のセリフにあるように
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20140909/00/columbo22/d9/32/j/o0338014913060918953.jpg?caw=800)
軍隊が疑問を抱き、逃走を意識し始める兵士たちに
絶対服従を強いるために準備した
ヘリクツまがいの都合のいいルールの事である。
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20140908/23/columbo22/2e/d7/j/o0342014713060837399.jpg?caw=800)
反戦以上に、そんな反体制の落とし穴を具体的に描いて見せた
奇妙奇天烈で思いもよらずヘビーな作品。
この独特な世界観は、好き嫌いがハッキリ分かれると思う。
それでいいんだ、
という監督マイク・ニコルズの確固たるスタンスは嬉しい。
★★★★
採点基準:★…5個が最高位でマーキングしています。★…は★の1/2です。