●Emperor of the North Pole(1973・アメリカ)
監督:ロバート・アルドリッチ 脚本:クリストファー・ノップ ジャック・ロンドン

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【北国の帝王】
☆顔面100年戦争だ!ボーグナインvsマーヴィン

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■「北国の帝王」は、1933年の大不況時代に、
鉄道のただ乗りを利用して町から町を渡り歩くホーボー(Hobo)と呼ばれる浮浪者たちと、
それを厳然と阻止するべくハンマー片手に殴り倒して回る狂気の車掌との熾烈な戦いを描く物語。

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しかしながら、
僕に言わせると、これはもはや映画と言うよりも、
オッサン名優2人による、どこまで続くか予想もつかない大顔面の泥試合ストーリーである。

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       ◇どうですかこのヤバイ形相!マジ入ってます

エイリアン対プレデターやジェイソン対フレディなんてスマートな戦いではなく、
濃厚さと暑苦しさとクラシック度においては、
サンダ対ガイラか曙対武蔵丸、
あるいは、いかりや長介対ハナ肇とでも言いたくなるような肉弾戦の様相である。

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何しろ70年代アメリカを代表する顔面気圧が高い老優2人の凄絶なバトルである!!

90歳越えて今だ現役で年数本の作品に出演し続ける鬼車掌シャックを演じるアーネスト・ボーグナインの顔は、とっくの昔っから存在凶器の域に達していた。

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普通では考えられないくらい強烈な、純正本生バイオレンス爆裂フェイス一本で、半世紀以上に渡ってアメリカ映画、TV界の中央街道を歩いてきた重鎮俳優のひとりである。

そんなキャリア以前に、この俳優の顔は、いったいどこの血が混ざり合ったのか、その大顔面の中で既に熾烈な一進一退の攻防が繰り広げられている無謀なひとり光合成状態としか言いようがない。

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しかし、問題は予想に反するこの人の血統で、父親は錬金術の権威で学者、母親は栄華を極めたイタリア貴族系の出身というから、いったい何があったんだ!と叫びたくもなる。

あの壮絶な暴力顔の中には、圧倒的にマカロニウエスタン系イタリア人の血が半分かそれ以上の比率で混ざり合っているのだ。

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更にこの映画では、縮れっ毛の禿げあがった髪を、コメカミ付近まで刈り上げているもんだから、暴れ回る時の頭髪は元気の無い海草みたいな状態で、逆にそれが不気味さを醸し出すという許し難い形状に七変化している。

不動点はテコでも動かないという線分の不動点定理を逆利用している…と、
こっちも何言ってるかわからなくなるくらいの惨状である。

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片や機嫌の悪いグレートデンのような、ちょっと触ると猛然と吠え出しそうなAナンバーワンと呼ばれる浮浪者世界の英雄を演じるリー・マーヴィン。

こちらが当然格上の俳優で主演であるにも関わらず、この作品においてはボーグナインの脂ぎったひとり光合成の前では、かえってこの腹を空かした番犬かボス猿まがいの大顔面が洗練されて見えたくらいである。

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大顔面対決では、明らかにルール違反の警告なんか聞いちゃあいないド反則フェイス・ボーグナインには敗北を喫している。

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他にも鬼車掌にこびへつらう助手役で万年累積赤字みたいな顔のチャールズ・タイナー、
機関士役でまじめそうだが頑固な、それでいてシラけている黒人ハリー・シーザー、
鉄道員のひとりで気弱な役ならこの時代のNo.1マット・クラーク、

小汚いジジイ連中もマルコム・アタベリー、ジョン・スティードマン、エリシャ・クック・Jrといった傍役組を揃えてソツがない。

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準主役の横柄横着なシガレットという若僧役のキース・キャラダインなんて線が細すぎて、目立とうにも目立てないほどガードの堅い野太いオヤジ大顔面と商工会議所か寄り合いの常連みたいなジジイ連合に埋め尽くされている。

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最大のみどころは、当然クライマックスの列車上で繰り広げられる大顔面対決!

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ハンマー、角材、チェーン、斧といった、
いかにも殴られると痛そうなアイテムを使ったデンジャラスな激闘は、
いい年こいて、やや鈍さも目立つオッサン同士の死力を尽くした腕力勝負で、ジャイアント馬場対ラッシャー木村くらいのスピード感ながら、見ていて痛い感触がガンガン伝わってくる。

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快心の一撃!は出るが痛恨の一撃!は出ないみたいな、
タフな名優ふたりの暑苦しい血の滲んだ延々10分近くにわたる大喧嘩は、「静かなる男」のジョン・ウェインとヴィクター・マクラグレンによるアイルランド人同士の鉄拳魂むき出しの殴り合いくらい記憶に残る。

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男気映画に断然の力を発揮するロバート・アルドリッチ監督のエネルギッシュな演出によって、俄然輝いた史上に残る名場面である。(まあ、鈍く重い輝きですが。)

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  ROBERT ARDRICH

元々、サム・ペキンパーが監督する予定だった作品だが、まだまだアメリカ映画の70年代発掘をすると、こんな映画がゴロゴロしていて興味は尽きない。


★★★★

採点基準:…5個が最高位でマーキングしています。…はの1/2です。






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●ありえないのですが、
もし技術が進んで本作がこのまんま3D映画化されたとしても、
このバトル場面だけは「3Dメガネを外しましょう」という字幕が必要。

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放っておいてもこの映画の場合、大顔面がいい具合に飛び出してきます。








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 ◇このクラシックな男臭いにおいこそ70年代!