「あの子の隣。」第七回
「うーん、絶対怒ってる。」
クリスマスプレゼントのためにバイトを詰め込みすぎた。
それが原因で体調を崩し彼女とのデートをドタキャン。
約束を破った上に心配までかけちゃって最悪だ…。
埋め合わせのデートに誘ったが、彼女の返事はそっけない。
喜ばせるために頑張ったことがかえって逆効果。
このまま終わってしまうなんていやだ!だってこんなに好きだもん!
もう一回気持ちをちゃんと伝えよう。
待ち合わせ場所にいたのは、笑顔のあの子。
「あ!遅いよ~!」
あれ…?怒ってない…?
「いこいこ!うわっ!」
勢いあまって転びかけるあの子。
とっさに支える。手が冷えてる…。
「久しぶりに会えるから、楽しみすぎて張り切りすぎちゃった!」
照れながら言うあの子。
もう。なんなんだ。かわいすぎです…。
「おれも楽しみだった。てかめっちゃ冷えてるじゃん!あったかいもの飲みにいこ!」
「うん!」
あの子との会話は楽しい。毎回何を話したか覚えてないけれど。
たくさんしゃべってたくさん笑って。バイトの疲れなんか一気になくなる。
やっぱり好き。
ホットチョコを頼んで一息。
飲んでる姿もかわいいな~。なんて思っていたら…。
「どうしたの?なんか顔についてる?」
顔を見ているのがばれ、自分の顔がどんどん赤くなっていく。
「なんでもない。」
お店を出て二人で歩く。
何やってんだろ、自分…と自己嫌悪。
クリスマスツリーが目の前にあって「きれい~」と喜んでいるあの子。
ツリーよりも…と考えていると、それを見ていたあの子がこう言う。
「もしかして、具合悪い…?」
「違う!!見とれてたの!!!」
とっさに返してしまったが、素直に言い過ぎた…。あの子はすごく笑っている。
えーい!この勢いで気持ちをぶつけちゃえ!
「この間は、ドタキャンしてごめん。あと、心配してくれてありがと。一緒にいると本当に居心地がいいんだ、だからこれからも一緒にいたい。」
「急にどうしたの?大丈夫!私も一緒にいるつもりだったから!
実はね、最近、クリスマスのためにバイト頑張ってたの。
だから、返信とかそっけなくなってた、ごめんね。」
よかった~と安心しつつ、嬉しそうにしているあの子にもうメロメロ。
こんなんだけどこれからもよろしくお願いします。
今日の「隣のあの子」
阿部望さん(22)
Write、Photo たかみー