私の一冊
秋といえば、食欲の秋。
秋といえば、芸術の秋。
秋といえば、スポーツの秋。
秋といえば、○○の秋というフレーズに、みなさんは何を当てはめますか?
今回、COLORメンバーは○○に「読書」を当てはめました。
「秋といえば、読書の秋。」
それでは、COLORwebメンバーおすすめの4冊をご紹介♪
■ちーやんセレクトの一冊は
「ハードボイルド」 吉本ばなな
青森県出身の画家・彫刻家、奈良智美さんの絵が目を引く一冊。
世界で活躍されている奈良さんが描く青く鋭い眼が特徴の女の子。
見れば見るほど愛おしくなってきませんか?
「ハードボイルドに生きてね。どんなことがあろうといばっていて。」
こう言い残してこの世を去って行った千鶴のことを思い出す不思議な一夜を描いた物語。
死んだ彼女と向き合う物語と聞くと、なんとなく暗く重いイメージがすると思います。
が、読み終わった後に感じる爽快感は、ちょっと変わった登場人物たちのおかげか、
それとも、よしもとばななさんが描く自然の描写が美しいからなのか。
読み返す程に見方が変わるおすすめの一冊です。
■たにぺいセレクトの一冊は
「スノードーム」 アレックスシアラー
人との関わりあいを避け、無理だと言われている研究に没頭する研究者クリストファー。
そんな彼はある日友人の科学者に手紙と、とても大切にしていたスノードームを残し
失踪してしまいます。その手紙を読み進める形で物語は進んでいきます。
物語に登場する登場人物は数少ないですが、一人一人がとても魅力的!
皆それぞれの愛の形があり、それに共感したり、悲しんだり、納得したり。
物語の結末をハッピーエンドととるか、バットエンドととるか、その人次第な作品になっていると思います。ぜひ読んでみてください。
■東海林セレクトの一冊は
「臨場」横山秀夫
臨場-警察組織では事件現場に臨み、初動捜査に当たること-
捜査一課調査官の倉石義男は、今は亡きものの言葉を救いとる。精細な倉石の眼が、あらゆる人間の心さえも見透かす様は圧巻です。
警察小説というと、「堅い。怖い。近づきにくい。」と思っている皆様、この小説は短編集で全八篇となっています。非常に読みやすいです。
そして、なんといってもこの倉石という男、カッコイイ。事件の解決は当たり前!人間の抱える闇までもすくい取っていくカッコよさはたまりません。まさにデキル男!
倉石を含む登場人物たちが、緻密なミステリーを作り上げるこの物語、ページを進めるその手を休ませてくれないでしょう。ぜひ、一度読んでみてください。ドラマ化もしていますので、お好きなほうからどうぞ。倉石の魅力をとくとご覧あれ!
■あすみんセレクトの一冊は
「薬指の標本」小川洋子
楽譜に書かれた音、愛鳥の骨、さらに火傷の傷跡まで様々な思い出の品を持ち込む「標本室」。そこで働くようになった主人公。標本室の標本技術士から靴をプレゼントされ、「毎日その靴をはいてほしい。とにかくずっとだ、いいね」と。
小川洋子さんといえば、「博士の愛した数式」をご存知の方も多いのではないでしょうか。
この本には静かに薄暗く、しかし透明感のあるなんともいえない感覚へ読者を飲み込む。
ドキドキという恋愛の話ではないが、靴をずっとはいていることで、まるで主人公も標本にされてゆくようなホラーにも近い恋愛に感じられた。
不思議で少し大人の恋愛小説を読むなら、これです。
秋の長夜にぜひ。
涼しく過ごしやすくなってきた秋。
ゆっくりと読書をしてみる日もいいかもしれませんね。
writer:たにぺー
photo:かとち かつまた