あなたはどんな手をしていますか?
傷だらけの手、ごつごつした手、すらっとした手、やわらかい手、力強い手。
人の手は、そこに、その人の生き方が現れてくる。
手から、その人の暮らしやこだわり、内面までも探る連載企画「The story of your hands」
第7回目の「手」は、彫刻家の佐野美里さんです。
■女性らしくも、女性としてのたくましさを感じさせる手
塩釜市を拠点として活動する彫刻家の佐野美里さん。
女性らしく、なんともかわいらしい小さな手。
「実は手がコンプレックスなんです。」
はにかみながら話す佐野さん。
彫刻をしていると手のひらに筋肉がついてしまうんだとか。
女性らしい手の中に、たくましさをも感じられますね。
小柄でやわらかい雰囲気の佐野さん。
しかし、時折見せる凛とした表情には女性としての芯の強さが滲みでていました。
■「犬」に秘められた想い
「作品に気持ちを入れるためにはどうしたらいいかと考えたときに、愛犬への愛情を作品として表現しようと思ったんです。」
佐野さんの作品のほとんどが、「犬」をテーマにした彫刻。
「犬」を彫るようになったきっかけは、大学3年生のころに愛犬を作品のモデルにしたことなんだとか。
「愛犬以外の犬は、それまでの思い出もないし、愛犬に対してのような特別な愛情があるわけでもない。単純に、他の犬をモデルに彫ったら作品はどうなるんだろうと思いました。」
いざ彫り終えてみると、周りからの反応は意外なもの。
――― 美里ちゃんらしい作品だね。
「愛犬をモデルにしたときとは違う感情で彫っていたはずなのに、周りから見たらどれも私らしい作品だねって言われたんです。それが不思議で。このまま犬というテーマで作品を彫り続けていったらどうなるのか。これはまだ答えがでてなくて、私がこれからも犬を彫り続けていく理由でもありますね。」

今回彫っている作品も、もちろん「犬」。
大きな体でありながら、丸みを帯びていて、木なのにどこかやわらかい印象をうけるこの作品。
佐野さんは、作品を彫るときに、女性の体からアイディアをもらうことが多いんだとか。
実は、この作品も女性がモチーフになっているんです。
女性としてのかわいらしさ、内面のたくましさが秘められている作品です。

「ここは上手くいったからもう彫らないというのは後退した考え方だと思うんです。昨日までの頑張りを彫って消してしまうこともあります。」
■女性としてのかわいらしさ、たくましさ
彫刻はいろんな角度から見ることも楽しみのひとつ。
それぞれ見る角度によって表情が異なって見えるのも、なんとも女性らしいですよね。
佐野さんが作り出す作品には女性らしさがぎゅっと詰まっている。
“女性としてのかわいらしさ、たくましさが滲みでていて、愛おしい。”
そんな言葉がぴったりな作品でした。
今後の目標は、さまざまな人たちに犬を知ってもらう、好きになってもらうことだそうです。そして、その手段として作品の販売も行っているんだとか。
佐野さんの彫った「犬」たちが、たくさんの人に可愛がられ、“飼って”もらえる日がきっとくることでしょう。
<おしらせ>
今回取材した佐野美里さんの作品が、
GAMA ROCK FES 2013
にて展示されます!
ぜひみなさん足を運んでみてはいかがですか?
GAMA ROCK FES 2013
9月22日(日)
宮城県塩竈市みなと公園(塩釜港緑地内)
〒985-0011 宮城県塩竈市貞山通3丁目12-1
Writer:マギカ
Photo:くぼたつ