七夕特別企画~仙台七夕を支える人~
8月、年に1度の仙台っ子が待ちわびる一大イベント「仙台七夕まつり」。
戦後そして震災のときも、”大変なときこそ仙台では七夕”と復興の願いを込めてきました。
まつりのメインは、なんと言っても華やかな「笹飾り」。
全国に七夕まつりと呼ばれるものは多々あれど、全てが和紙で作られた豪華絢爛な七夕飾りは他にありません。
今回は仙台七夕の伝承に努める「伝承七夕」代表の佐藤洋子さんにお話を伺ってきました。
あべべのレポートです。
■ 納得のいくものをつくる
「七夕を見る人は沢山いても、作る人は少ない。自分の手で七夕飾りをつくってみたい!そして伝えたい!それがきっかけかな。」
試行錯誤を繰り返し、伝承七夕を立ち上げて12年。
佐藤さんたちの作る七夕飾りに魅せられた方々から、作ってほしいとの注文の声が年々増えているそうです。
伝承七夕では、主にミニ笹飾りの製作や、依頼があれば学校・病院に出張し笹飾り教室を開催。
また、「少しでも癒しになれば……。」との思いから被災地訪問も積極的に行うなど、
人と人・心と心のつながりを大切にされていらっしゃいます。
■込められた7つの思い
七夕といえば、多くの人がイメージするのは吹き流しや短冊。
しかしその他にも、笹飾りには7つそれぞれに思いの込められた「七つ飾り」があることをご存知ですか?
(左から)
◆ 短冊=学業・書道の上達
◆ 紙衣(かみごろも)=病気・厄災の身代わりと、裁縫・手芸の上達
◆ 折り鶴=延命長寿
◆ 吹き流し=技術上達・織姫の糸
◆ 巾着=繁栄・富貴・節約
◆ くず篭(くずかご)=清潔・倹約
◆ 投網(とあみ)=豊漁・豊作・幸福
特に「短冊」は “五色の短冊”と七夕の歌にも出てくるように、
五色の紙にお願いごとを書くのですが、その五色にもそれぞれ意味があるんです。
○青 徳を積む
○赤 両親や祖先に感謝
○黄 友人や知人を大切に・信頼する
○白 決められたことを守る・義務
○黒 学業の向上・知識を磨く
何気ないところに、たくさんのこだわり。
私たち編集部取材班もそれぞれの飾りに願いが込められているとは知らず、その奥の深さには驚きました。
■こだわるということ
伝承七夕では、和紙の買い付けから行い、
折り方1つ、色合いや全体のバランスにしてもじっくり考え丁寧に笹飾りを作っています。
実際に完成したものを見せていただいたのですが、その手の込んだ飾りの1つ1つから、作り手の思いの強さを感じました。
「作るたびに改良を重ね、満足度の高いものに仕上がってきている」と話す佐藤さん。
しかし、まだ100%の満足には至っていないそうです。
「たくさんの人たちの健康と幸せを願いながら、心を込めて作り続ける。」
“絆を大切に”
これをモットーに、活動している伝承七夕のみなさん。
たくさんの支援やご協力のおかげで、昨年厚生労働大臣賞をいただいたそうです。
佐藤さんを中心に、伝承七夕で活動されていらっしゃる方は12名。
年間を通して多くの依頼がくるため、オフシーズンの3ヶ月のほかはフル活動。
“好きでなければ続かない”という言葉の意味も納得です。
取材させていただいたこの日も、みなさん手を休めることなく和気あいあいと作業されていらっしゃいました。
今年も例年通り8月6日から3日間仙台七夕まつりが開催されます。
“豪華絢爛”
その裏にある、作り手の試行錯誤と想いをこの取材で初めて知ることができました。
こうして継承されてきた伝統を、守り伝えること。
これから若い人にもこの伝統を守り繋いでいってもらいたいと思います。
【お知らせ】
8月6日~8日の3日間、
仙台市市役所前のお祭り広場では、伝承七夕のみなさんと七つ飾りを作る体験ができます!
ぜひ足をお運びください♪