習いごとつまみ喰い 〜その1〝書道教室〟 | COLORweb学生編集部

習いごとつまみ喰い 〜その1〝書道教室〟

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こんにちは!

COLORweb学生編集部・きいちです。

この間まで桜を追いかけていたのに、もうすっかり暑くなりましたね。
このところ、日中は半袖でも汗ばむような陽気。


そんな休日に、行ってきました新企画の第1回取材!


文化系運動系、インドアアウトドア問わず
気になるさまざまな「習いごと」をちょっとずつかじっちゃおう!
そして「興味はあるんだけど・・・」と
ちらちら横目を飛ばしつつ、二の足を踏む仙台の学生のみんなに紹介して
その一歩を促そう!
という趣旨のシリーズです。

題して「習いごとつまみ喰い」!!




僕らが白羽の"鏑矢かぶらや"を立てたのは・・・

書道教室

です!


学校の習字の時間はふざけてばかりいたぜ、なんて人も
もちろん無我の境地を目指して筆を運んだよ、という人も
「習いごと」として書道を考えたことがありますか?

今回お送りするレポートを読んで
「やってみたい」と思ってもらえれば嬉しいです。

そして、そのきっかけを逃さず
「えいやっ」と書道の世界に踏み込んでくれたなら!
僕らもこれに勝る喜びはありません。



・・・それでは、どうぞ!

(以下、書道教室なのでトーン抑えめでお送りします)



とある五月晴れの土曜日、
学生編集部顧問の高橋さん、「最年少奇抜系美少女」あかさかちゃん、
そして僕きいちの3人で訪れたのは
仙台は若林区、南鍛冶町に教室を構える
「書道翠桂社(すいけいしゃ)」さんです。


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さっそくお邪魔しましょう。


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中は「書道教室」らしくない広々とした空間。
(書道教室がこじんまりとしているイメージは、僕の偏見でしょうか)

イスとテーブルも並んでいて、最大で25人ほど座れそうです。

「どっちがいい?テーブルがいいでしょ?」とおっしゃる先生に
「せっかくなので、正座で!」とお願いし、座布団を貸していただきました。



お世話になるのは、宮城野書人会の理事長
狩野翠桂(かの・すいけい)先生です。


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「よろしくお願いします!」
「はい、お願いします。元気がいいわね~」


いよいよお稽古体験のはじまりです。

(本来はこのようなお試し授業は設けていないそうなのですが
 特例として認めていただきました。
 感謝すると同時に、
 僕らは図々しくもある企画を持ち込んでいます。
 どんな企画かは、記事の後半をお楽しみに)


3人、膝をたたんで座ります。
正座じたい、何年もまともにしていないような。
腹筋に力を入れて、よい姿勢を心がけねば・・・。


毎年の元日に、一年の抱負とイラスト(?)を書き初めるという
あかさかちゃんの提案で、墨すりから始めることにしました。


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「今は墨汁を使うことが多いけど、
 こうして墨をすると心構えができるわよね」
と、先生も笑みを浮かべます。

墨をするコツを教わったので、読者のみなさんにもおすそわけしましょう。

① 水を「海」に適量入れる
② 墨で二度三度、水を「陸」に引き上げる
③ 垂直に立てて、する (『の』の字に、って聞いたことあります、とはあかさかちゃんの言)
④ 「陸」に上げた分の水が硯の面に馴染んできたら「海」に戻す
⑤ ②~④を繰り返す


水から墨をするのは大変ですが、
墨汁よりも濃淡が出しやすくなるそう。


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それぞれの硯の「海」が淡い黒に染まると、
楽しげにご自分の机に座る先生。

「今日は何にしようかしらね。
 よく晴れてるから、これでいきましょう」

さささ、と流れるような所作で書かれたのは
「大空」の二文字。

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(きいちがどや顔で持っていますが、先生の字です)


一人一枚お手本をもらい、机の前に座り直すと
息を深く吸い、吐き・・・
真っ白のキャンバス、ならぬ半紙に向かいます。


いざ!

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生徒の皆さんとともに、集中。


翠桂先生の教室では、お稽古の曜日と時間帯が決められていて
その間であればいつ来ていつ帰ってもいいというシステム。
僕らが体験取材に伺ったこの日も、
皆さんそれぞれのタイミングで玄関のドアを開けていました。
全員が知り合いというわけでもなさそうですが
どなたも朗らかで、とてもあたたかい雰囲気でした。


ほどよい緊張感の中で、編集部メンバーも真剣そのもの。


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何枚も何枚も書き、我ながらよいと思えるものを提出し、ご鞭撻をいただきます。


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翠桂先生はたくさん褒めて下さいます。
お手本通りではなくても、
その人の字のよさを、明るいお顔とお声で。

「大のはらい、右も左も元気でいいじゃない!」
「このはね完璧!100点あげちゃおう」
「バランスがとってもいいわぁ~」



朱筆で、半紙のいたるところに二重丸、三重丸。
そして最後に、変わらないトーンで「道の先」を見せてくれます。


「ん~すばらしい。あとこの一画の、はじまりだけ、ここからね」
「難しいのによく出来てるわよ。ここは、曲げるときに一度力を抜くの」



これでやる気が出なければ嘘だなあ、と思いながら
また何度も何度も、筆を滑らせました。


もちろん、書『道』と言うからには
「極める人」の育て方は違うはずです。
基本をしっかりと学び、
お手本通りの字が書けるようになって初めて
自分の書というものに入っていくのでしょう。
望めば、きっとそういった指導も受けられると思います。


けれど、趣味として筆を持つのであれば
上達は願っても、そこに厳しさや苦しみは必要ない。
頭を空っぽにして、体を使って書く時間・・・
そこにあるのは、ただ「書くことを純粋に楽しむ」という心。

翠桂先生のその思いが
態度から言葉から、伝わってきます。

そのお気持ちに応えるべく、無心に、書き続けます。


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・・・気づけば、「大空」を書き始めて1時間が経っていました。

「もう!?」と、高橋さんは驚きを隠せない様子。
「あっと言う間よね」と、ますます嬉しそうな先生。


そして、いよいよ、
僕らは"例の企画"を口にしました。


「実は、題字を書こうと思っていまして」

「題字?」

きょとんとする先生に、
COLORwebの記事に使うタイトルバナーをこの第一回の書道で作ろうと考えている、
3人の中から1人選んで欲しいと説明します。


「楽しそうねえ。
 ・・・でも選べないと思うわよ」
と、先生は笑っていました。



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持参した横に長い書道用和紙を前に、
無言で腕を組むきいち。
硯の上に右手で筆を構えたまま、左手で字を配置する高橋さん。
半紙を3枚使って事前練習するあかさかちゃん。


本シリーズのタイトル「習いごとつまみ喰い」の文字を
おのおの、思い思いに、散らしました。


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では、選んでいただきましょう!


「・・・うーん・・・」

あれ?

「うう~ん・・・」

先生??

「・・・だって、どれもいいもの。
 これは『喰』に一点集中ね。
 これは真面目な感じ。
 これは大胆な構図で・・・
 性格出るわよねえ、アハハハハ」


確かに、性格出るなあ・・・と
なんとなく口の端を上げる編集部3人。

けっきょく、前言どおり
先生は「選べないわ」とおっしゃいます。


・・・というわけで、自分たちで相談し、ひとつを決めました。

それがこちら!

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お気づきの方もいらっしゃることでしょう。

そう、実はこの記事のトップに載せていたタイトルバナー、
COLORweb編集部員の直筆なのです!


どうですか、なかなかでしょう?
「たった2時間で本当にみんな上手になったわよ!
 ビックリしてるのよ~、わたし」と
先生の太鼓判も頂きましたからね。

3人のうちの誰の書か、気になりますか?
気になりますよね。
ですが秘密です。
ぜひ想像してみてください。


・・・
さて、そろそろお暇する時間になりました。

もちろん、片付けまでがお稽古。

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・・・なのですが、筆だけは
洗い方があるから置いておいて、という
先生のお言葉に甘えてしまいました。

ちなみに、今回はご厚意で体験稽古の機会を頂いた上に、なんと
硯、筆、墨、半紙など必要な道具もすべて貸してくださったのです。
「大空」の練習では、3人分を合わせると
おそらく50枚以上書いたのではないでしょうか。
ほんとうに有難い、という感謝の気持ちで
使った道具たちを仕舞いました。


それでは、今回「つまみ喰い」させて下さった
宮城野書人会さんの詳しい情報です。


「宮城野書人会」
 ホームページはこちら

・翠桂先生のお師匠さまである
 加藤翠柳(すいりゅう)さんが昭和23年に創立

・現在は宮城、青森、岩手、北海道、埼玉、東京、山口に教室がある
 (この中でも仙台に一番多い)
 以前は台湾支部もあったとのこと。

・書人会への入会金は無料、
 年会費7,200円、学生(中学まで)4,200円
 ただし「書芸苑」という作品集の代金として納める
(宮城野書人会はお金儲けを考えていないのよ、と
 翠桂先生は強調されていました)

・教室によって月謝は異なる
(ちなみに、翠桂社は5,000円で水・金・土の稽古日に通い放題)

・楷書、行書、隷書れいしょ、硬筆、ペン字など十科目を修められる


※なお、指導方針や内容は教室(先生)によって違うかもしれないので
 事務局やそれぞれの教室に確認することをおすすめします。




もちろん、宮城野書人会さんの他にも
仙台ではたくさんの個人や団体が書道教室を開いているので
自分に合った先生や教室が見つかれば、それが一番ですね。


以上、
「習いごとつまみ喰い」 その1〝書道教室〟を
きいちがお送りしました。

週に一度でも、こんな静かな時間が持てたら
心がゆたかになるだろうなと思います。

興味のある方は、ぜひ!



翠桂先生、ありがとうございました!!


$カラー調査部






※お詫び※

2013年6月現在
地下鉄や大学生協などのラックで無料配布中の
S-style Freeに、当記事の一部が掲載されました。
その中で先生と教室のお名前が
「翠桂(けいすい)先生」、「翠桂社(けいすいしゃ)」となっていますが
正しくは「すいけい」とお読みします。
訂正してお詫び申し上げます。