大宮エリースペシャルインタビュー! ~「思いを伝えるということ展」について~
こんにちは!COLORweb学生編集部のたんちゃんです!
3月30日からせんだいメディアテークで始まる「思いを伝えるということ展」に先駆けて、作家や演出家、CMプランナー等多方面で活躍する大宮エリーさんに取材をしてきました!
東京、札幌、京都と続いた「思いを伝えるということ展」。
どんな思いがこの個展に詰まっているのでしょうか。
たんちゃんのレポートでお楽しみください。
たんちゃん(以下T)「大宮エリーさんは渋谷パルコを始め、札幌、京都と個展を開催されていますが、今回仙台で個展をやろうとおもったきっかけは何だったんですか?」
大宮エリー(以下 E)「渋谷パルコで思いを伝えるということ展を開催したとき、来場者の方から手紙を沢山頂いたんです。手紙は福島や宮城など、東北から来てくれた人からのメッセージも多く、中には気仙沼の方が『ツイッターを見てきました!』なんていう声もあったんです。多くの人に『心の個展をぜひ仙台でやって欲しい』『家族や友人は見に行けないから福島でやって欲しい』と言われた時、嬉しいというよりはその想いに応えてあげたいと重く受け止めましたね。」

E「もちろん東北だけではなく他県からも来て欲しいと言われていたので、個展を開催できる場所が決まったとこから次々開催していきました。東北では絶対にやろうと決めていたので宮城や福島で場所を探しましたが、その時個展が開催できそうな場所がどこも満室で借りることができなかったんです。それから、思いを伝えること展が開催されて1年ぐらい経った時ですかね。知人と飲んでいた時に『そういえば東北でやるって話、どうなったの?』と聞かれたんです。借りられそうな場所が無くて…と相談をしたら、仙台の知人がやれそうな場所がないかを探してくれて、たまたま場所のキャンセルが出ていたメディアテークで開催ができるようになったんです。」

E「私、イベンターでもないから運営をするのだけで一苦労なのに、お金も時間もない。でもプロデューサーの仕事もしないと…と大忙しで。
誰か他にスタッフを探さないといけないと思っていた時、京都で個展の時に学生とお話をした際もっと学生と一緒に何かやれたら面白いなと思っていたのと、芸術工科大学を教授と以前から何かやれたらいいねと話していたこともあって、大学の学生ボランティアを募ることになりました。」
T「実際京都の学生に比べて、仙台の学生はどうですか?」
E「みんなシャイ!京都の学生は『お仕事の話聞いていいですか?』とぐいぐいくるのに、仙台の学生はもじもじしていましたね。でもバイトの話をしていたら学生も打ち解けてきて、今は“チラシ大作戦”という学生のバイト先にどんどんチラシを置いてもらう作戦を皆にやってもらっています。」
T「今回芸術工科大学とのコラボレーション企画では、実際にどんなことをされる予定ですか?」
E「学生は個展を1人でやったことないと思ったので、運営や受付等の個展の仕切りを託すところから、学生とのトークイベントができたらいいなと思っています。
ボランティアを募った時、文芸、デザイン等、普段なら交わらなさそうな学生達が集まりました。それは作家や映像関係等、多方面で私を知ってくれたからだと思います。私が就職活動をしていた時、ガスや航空会社等様々な職種の人とお話ができて面白かったなと思いだした時、就職活動のように色々な人に会える場や社会勉強になる場や同じような体験が今回できたらいいなと考えています。」
T「今まで学生と何かを作り上げたり、表現したことはありましたか?」
E「今までは、学生と関わることが無かったですね。
私こう見えて自分が勉強したい立場だから、教えることが苦手なんです。我流を教えるのはおこがましいんじゃないかなと思ってしまって。よく学校で授業してくださいと依頼を受けるんですが、今までは断ってましたね。でも震災がきっかけで教育って大切だなと思うようになり、今度大学で授業することに決めました。」
T「そうだったんですね。」
E「世の中って、勉強だけじゃないことってあると思うんです。人に誤解をされた時どうすればいいのかとか、人に思いを伝える時と伝えない時の差とか、人思いやるってどういうことだろうとか。これって社会に出て学ぶことだけどもっと早い段階で勉強してもいいんじゃないかな、これ学生のうちにしていたらよかったな、と思うようになったんです。
自分達がこれからどうしていきたいのか、自分の信念として何が大切なのかを知るって大事。学校では教えてくれないから、それができたら面白いかなと思いました。」
T「本を読んだ時『ありがとうの気持ちを伝えるのに、こういう理由で、とか、あのときこうで、と色々伝わって欲しいから必死になるけどそうではなくて、シンプルにありがとうを心をこめて10回言えば伝わる』という言葉を見た時、思いを伝えるってそういうことかと改めて知ることができました。きっと、私みたいにどう伝えていいのか分からない人にとってエリーさんの個展は思いを伝える方法を教えてくれる場のように感じました。」
E「私、こう見えて何でも出来そうに見えてしまいがちなんですけど、楽屋に感想を言いに行くのが苦手なんです。他の人が感想を上手く伝えているのに比べて、私は恥ずかしくなって目も見ないで『よかったです』の一言で帰ってしまうこともあって。萎縮してしまうんです。だから一度楽屋に行かなかったことがあったんでけど、そしたら相手に『ライブがよくなかった』と誤解されてしまって。その時、よかったと思ったことが伝えなかったことでなかったことになっちゃうんだ、と気付きました。それからは、無理にでも楽屋に行って、自分の言葉でちゃんと伝えるようにしていますね。私のように言葉に苦手意識持っている人がいたら『こういう方法もありまっせ~』ということが伝えられたらいいなと思っています」
T「話を聞いていて、エリーさんは本当に言葉や思いを伝えることを大切にされているんだなと感じます。エリーさんにとって、言葉の魅力ってなんですか?」
E「人間って、言葉をしゃべる不思議な生き物。言葉でコミュニケーションを取らないと生きていけない生き物なんじゃないかな。
私明るいと思われているけど、家では体育座りして暗い時もあるんですよ。そんなとき電話が来ると『このテンションで電話出たら暗さを移しちゃうな』と思って出るか迷うんです。それでも出ちゃうときってあって、ずーっと無言でいたら相手から『もしもし』が何回も聞こえてきて、その時ふと『もしもし』が遠くで光る灯台の光に見えたんです。
そのときに『もしもし』は心をノックするような言葉に感じましたね。『もしもし』って、あったかいですよね。」

E「それで今回の個展では、みんなも同じように感じてもらいるのかを試したくて孤独の電話BOXを考えたんです。おっさんやおばあちゃんや沢山の人の『もしもし』が聞こえる。そのあと『元気』『大丈夫だよ』『また明日ね』が沢山の人の声で聞こえてくるBOXなんです。この4つは私が好きな言葉で、聞いてると自然と心がすっきりするなーとおもって考えました。
孤独の電話BOXは2時間待ちの行列ができたこともあって、BOXから出てくる人が皆泣きながら出てくるのを見て、心の中に押し殺してるものが皆あるんだなと思いましたね。」
E「笑いなしの個展は思いを伝えるということ展が初めて。実際に個展を開催して、来場者が『考えるきっかけになった』と言ってくれたり、会場にある言葉を自分なりに編集して自分のものにしてくれている姿を見て、それっていいなと思いましたね。
私は何かを表現したいわけではなくて、そういう場を作りたかっただけ。皆のきっかけになったらいいな、というだけなんです。この個展は、皆が感受性で作品にしてくれているんです。」
T「エリーさんは今までも思いを伝えることや言葉の大切さを感じてこられたと思いますが、今回個展をしたことで言葉の持つ力により気付くことができましたか。それとも再確認できたという方が正しいですか」
E「再確認しましたね。皆の感想を読んだとき、私に対する感想ではなくて個展に対してこう思ったという感想をもらって、なんてあったかいのだろうと思いました。夜明けのメッセージボトルでは見ず知らずの人が書いたメッセージを読むことができるのですが、読んだ人が他人の残したメッセージに号泣している姿を沢山見ました。そんな姿やみんなの言葉に触れたことで、より考えさせられましたね。」
T「思いを伝えることって、簡単そうに見えて奥が深いことなんですね。今後も個展はやっていこうと考えていますか?」
E「私にとって個展は『人生こう切り抜けましたけど、みなさんどうですか』というのを遊びながら皆に感じてもらうものだと思っているので、これからも望む人がいるならやろうかなと思っています」
T「大宮エリーさん、本日はありがとうございました。」

「言葉にしないで伝わることもあるかもしれないけど、言葉にしないと伝わらないことって沢山あるんだよね」そう語るエリーさんからは、私たちと同じように思いを伝えるとき緊張したり、伝えず後悔してしまった過去があるから、思いを伝えることを大切にしているのだと感じました。
私自身、記事を書いていると素直に伝えられることはあっても、口に出すと上手く言えないことが沢山あります。
例えば、普段“ありがとう”や“ごめんね”を相手に言葉にして伝えるのが恥ずかしい時ってありますよね。でも「言葉にしなければ思いはなくなってしまう」というエリーさんの言葉を聞いた時、自分自身が抱いた思いは無駄なものではなく、伝えるべきものかもしれないからやってみなよと、ポンと背中を押されたような軽い気持ちになりました。
学生という短い時間だからこそ、周りにいる人に思いを言葉にして伝えていかないといけませんね!

「思いを伝えるということ展」はせんだいメディアテークで開催されます!
きっと、言葉の魅力や思いを伝える大切さに気付くことができる個展だと思います。
ぜひ、足を運んでみてください!
<Twitterで寄せられた「思いを伝えるということ展」へのメッセージ>
・どうしてもエリーさんの言葉達に会いたくて、仕事の後、福島から新幹線に飛び乗り行きました!ちょっと迷ったけど着けました!壁の言葉を読み、電話BOXからの声を聴き、涙がぽろぽろ出ました。ほんとに行ってよかったです。本が届くの楽しみにしてます!
・大宮エリーさんの展覧会「思いを伝えるということ」見に行ってきた。臆病になって飲み込む事が多くなってた。思いを伝えることに一生懸命になるのも悪くないな。カッコ悪くなんてないな。
・大宮エリー「思いを伝えるということ」展では、色んなインスタレーションで感じることができる。心細い平均台は、確かに渡っているときはちょっと不安だったけど、旦那さんが登るときに肩を、降りるときに手をかしてくれた。夫婦ってそういうことなんだなーと思って、ありがとうを伝えました。
思いを伝えるということ展
会期:2013年3月30日(土)~4月10日(水)
※4月4日は休展
会場:せんだいメディアテーク6階ギャラリーb
会場時間:10:00~19:00
入場料:500円【未就学児無料】