観てきました。


   感想は、「残念」の一言です。2時間でもあの原作の面白さは表現できてませんでした。まさしく残念な作品でした。以下、悪かった点とよかった点をあげます。


   悪かった点。


1 キャラの性格が立っていない。


   原作のようなよく出来た小説は、読んでいて無駄な部分がまったくありません。一見どうでもいいような場面、登場人物の一言、しぐさ、内面の描写が物語の重要な伏線になっていたり、 キャラの個性を引き立てる役割を担っていたりしているわけです。

   だから映像化するときにそれらを原作から削ってしまうと、原作の中でギリギリのところで保たれていたバランスが、一気に崩れてしまうのです。もちろん、全てを描くのは、時間的に不可能だったでしょうが、せめて田口・白鳥・氷室あたりはもう少し丁寧に描いて欲しかったです。

   以上の点から見ていくと、原作では、白鳥調査官は、とてつもない変人だが、同時にとてつもなく頭がキレる人物です。一貫して社会や組織の不適合者として描かれますが、最後に礼儀正しさ・常識的な側面も持っていることを示します。まさにロジック・モンスターの名に恥じない本音と論理だけが突出しているアンバランスだが魅力的な人物だというわけです。

   他方、田口センセも変わり者だが、白鳥のような完全な変人ではなく、一応組織の中で独自の生存場所を確保する程度の器量を持っています。同時に白鳥とは別の種類の切味の鋭さを白鳥の必要とするところで見せます。

   ところが、映画を観た限りでは、白鳥調査官は、口の利き方を知らないだけのただの嫌な奴でちょっぴり変り者という感じでした。また,田口センセは、頼りないし切味も無い巻き込まれキャラの一辺倒でした。 

   氷室ももう少し異常さを描写して欲しかった。

   

2 妙な独自色を出そうとして失敗している。

 

   原作がよく出来ているときに、よくある失敗パターンだと思います。原作から大きく削った分(伏線・キャラクター描写)を取り戻すために、取り入れた場面(ネタばれになるので自粛します、映画館でどうぞ)が良くありませんでした。

   これなら原作の忠実な映像化に徹した方が良かったと思います。もっともそれが出来ないから入れたんでしょうが成功する確率は、限りなくゼロに近いと思います。



良かった点


1 物語が破綻なくまとまっている。


  物語の大筋は、原作と変わってませんでした。ここも弄っていたら収拾が付かなかったと思います。


2  キャストは、良かった。


  阿部さん・田口さん・田中さん・平泉さん・野際さん他の出演者の演技は、物語の雰囲気を守っていました。

  ただ、本人の責任ではないと思いますが、田口センセ役の竹内さんはキャラが立っていないこととあわせて、どういう方向にもって行きたいのか、最後まで意味不明でした。



   ぜひ、田口センセ役を男性(35才~45才の演技の出来る俳優)に変えて、次回作をお願いしたいです。へんな色気を出さずに原作の映像化に徹した形で。