カラーコンサルタントの三浦まゆみです。
建材メーカー、大建工業株式会社さんの会報誌に
インテリアカラーコラムを書かせていただいています。
2016年12月は「高齢者が安全に暮らすための色」について書きましたので、ご覧ください。
人間の体は歳を重ねると変化します。それは眼も同じこと。
高齢になり、眼の水晶体が黄色くくすんでくると、色の見え方は変わります。
例えば、おばあちゃんと孫が、一緒に海を見ていて
「きれいな青い海だね」と言ったとしても、見えている色は違うわけです。
そんな高齢者の眼でも見分けやすいのが明暗差。
「明るさの差」をつけてあげると、色の違いが見やすくなります。
家の中だけではなく、ビルの中などのサイン(トイレの表示、案内表示)や
エレベーターのボタンなどの表示も、
背景となる壁の色との明暗差をつけてあげることが大切です。
また、「明暗差をつけること」は、高齢者だけではなく、
「すべての人にとって見やすくわかりやすく使いやすいデザイン=ユニバーサルデザイン」
の考え方にもつながります。
人間の眼には、視細胞という2種類の細胞があります。
●色を見分けているのが「錐体(すいたい)」という視細胞。
●明暗を見分けているのが「杆体(かんたい)」という視細胞。
錐体が約600万個しかないのに対して、杆体は1億2000万個もあります。
杆体の方が、かなり数が多いんです。
この数の差が何を現すかというと、人間は「明暗差」を敏感に察知できる、
ということなんですね。
ですので、高齢者に関わらず、全ての人にとっての見やすさ、わかりやすさを考えるときには、
色相差(赤、青といった色みの差)よりも、明暗差がついているかをチェックすると、
よいデザインが出来上がります。
「なんとなく明暗差がついていると読みやすいかな~」
ではなく、
「人間の眼が、明暗差をキャッチしやすい構造になっている」
という根拠のある話ですので、活用しない手はないと思います。
インテリアだけではなく、チラシ、Webの文章などの背景色と文字色の関係でも
使えるポイントなので、押さえておくとよいですね。
せっかくよいことが書かれているのに、
見えずらくて読んでもらえなかったらもったいないです!
チラシやWebが完成したら、必ず「明度差」チェックをして、
読みやすいかどうかを確認しましょう!
★次回、2017年1月号も引き続き「高齢者が安全に暮らすための色」の
第2弾のコラムを執筆予定です。次号もお楽しみに♪
★過去のインテリアカラーコラム記事はこちら