目で観る刀の教科書展、6/3の特別講演の内容を、覚えている範囲で、書きました。
100分に及ぶ講演の内容をうまくまとめられなかったので、雰囲気が伝わればいいかな・・・。
まずは日本刀剣博物技術研究財団理事長の澤口氏の自己紹介から。
(澤口氏は薬学博士。大崎市に多額の寄付をし、紺綬褒章を受章されています)
・普段は薬の研究とか、エンジンオイルの開発やってるよ
・ギネスの企画が出たのは、一週間前くらい。とにかく時間がなかった
・当日の午前一時くらいまで準備やってた
・財団の刀は、専用の金庫みたいな部屋に保管してる。取り出すにもガスを抜いたりしないといけなくて、手間がかかる
・はっきり言って赤字!!ボランティア!
・現地スタッフ、自社社員をここに一週間滞在させる費用、運搬費など・・・。本業がないと、やってられません!
・でも、大崎市役所新庁舎オープン記念に、大きなイベントがやりたかった
準備費用の具体的な金額もお聞きしましたが、掲載は控えさせていただきます・・・。
次に、大崎市長からのご挨拶。
・この古川の辺りは、東日本大震災で一番、地震の揺れが激しかった場所。
・たくさんの方にお越しいただけて、嬉しい
澤口氏から、科学方面から見た、刀のお話。
・刀をいかに折れずに斬れるようにするか
・焼き入れの仕組み
・強度を上げるための工夫、皆焼
・刀の擦り上げ、返し銘
・戦国時代、刀はセカンド武器だった
鎌倉時代などの太刀を、戦国時代にセカンド武器として使うために短く擦りあげた際、
銘がなくなってしまった刀が多数生まれた。
おそらく大倶利伽羅広光もそう。
中には、銘がなくなるのを惜しんで「折り返し銘」とした刀もあるよ。展示してある「正恒」がそうだよ。
ここで、ゲストの「開運!なんでも鑑定団」の鑑定士、柴田光隆先生が登場。
銘のある・なしで刀の価値がどれくらい変わるのか、という数字面のお話がメインでした。
その他に、
・脇差はお買い得
・意外と思われるが短刀は高価(作られた時代が限られるため)
・在銘刀は細いものが多い
・長義の刀はどうして太いのか
在銘刀→持ち主が良く見せようとして、研ぎに出す→研師さんが頑張った結果、すり減ってしまった、ということのようです。展示してあった安綱が、痩せっぽちに見えたのは、この結果なのかな・・・と思いました。
長義の刀はどうして太いのか→これは掲載を控えさせていただきます・・・自分の中で、長義=太いが定着しました
それと、柴田光隆先生は二代目の鑑定士で、お父様が初代お宝鑑定士。
そのお父様が、東京国立博物館(トーハク)を訪れた際、小竜景光を見て、腰を抜かすほど感動して、
刀鑑定(のお仕事)の道に進むことを決意されたのだそう。
すごいな、小竜景光。一振りの刀が、一人の人生を変えることもあるんだ・・・。
光隆先生の運命の一振りは、同じくトーハクで見た「小烏丸」とのこと。
トーハクって、刀のチャンピオンとでもいうべき物の集まる場所なんだなぁ・・・
柴田先生がお帰りになり、澤口氏のお話。
・池田家の子孫の方が、どうも刀が好きじゃなかったみたいで、刀を多数、売りに出してしまった。海外から買い戻した。加藤清正所用の同田貫もそうだよ。血のりもついたままにしてる。空港の職員が銘を読めなくて、その場で講習会みたいなのをやったよ
・渡った先がアメリカなら、まだ交渉の余地はある。中国に渡ったら、戻ってこないよ
・昨日、佐野美術館の渡邉妙子先生がいらっしゃった。ウチが持ってる「熊野三所権現長光」の号の由来を聞いたよ
・大崎市に刀の展示ができる施設がほしい
講演を聞かせていただいて、刀剣ブームを一時的なもので終わらせない、という意気込みが感じられました。
自分たちの国の財産は、自分たちで守る。
大切なことを気づかせていただけたと思います。
私は長光が大好きなので、お話に出てきた「熊野三所権現長光」を、いつか拝見できたら良いなぁと思っています