はじまりのとき ねこの見る夢。 《はじまりのとき》そのひとはボクを見て、ゆっくり微笑んだ。「まだ仔猫なのに、おっきいね。」小さな部屋のドアが開いて、その人の膝にふわっと抱っこされた。長い髪の毛がくすぐったい。そのひとの手がボクの頭を優しく撫でる。少しおしゃべりして、何度もボクの顔をみつめている。 それから、また小さな部屋に戻された。「またね」そのひとが言う。 「またね」