いつも海外に行くたびに「今度こそ世界地図を買って帰ろう」と出発前に決めているのに必ず忘れて帰国してしまう。
なぜわざわざ海外で世界地図を購入するのか、理由はひとつ。日本で作成された世界地図は日本が中心になっているから。
もちろん日本国内でも大きな書店に行けば日本が中心ではない世界地図は手に入る。
しかしそこで手に入れた”モノ”にはなんの『思い入れ』も『思い出』も存在しない。
何年の何月にどこに旅したときにどんなふうにして手に入れたのかが、自分にとって大切なのだ。
ではなぜ忘れるのか。
理由はいくつかあるのだが、最大の理由は地図を販売している店に立寄っても、今購入すると大きな荷物になるから、旅が終わる頃にまた寄ることにしようと店を後にして、結局帰るころにはお店に立寄ることをすっかり忘れてしまうからだ。
なぜ帰国する頃になると忘れてしまうのか、これは大きな謎だ、本人にもよくわからない。
おそらく長旅の疲れと、嫌いな飛行機に長時間乗らなければならないことで頭の中がいっぱいいっぱいになってしまっているからだろうと推測している。
だから今回は旅の早い段階に購入することにした。
店はクライストチャーチ市内にある”MAP WORLD”、まさにそのままの名前だ、わかりやすくていい。
ここでスーツケースになんとか収まるサイズの地図の中から気に入ったのを選ぶこと30分。
やはりヨーロッパとアフリカ大陸がセンターにあると落ち着く(現代文明はそのすべてがヨーロッパから見た目で書かれている。こうやって見ると大西洋や日本が極東と呼ばれる意味がよく理解できる)
地図の中心がヨーロッパとアフリカになっているのも気に入った、南北アメリカ大陸が中心のものだったら購入しなかっただろうし、南半球側から見た”逆さ世界地図”は将来南半球圏に永住するようなことになれば考えてもいいが、あれは世界地図としては見ることに違和感がありすぎる。
購入した地図をケースに入れスーツケースに大事にしまって帰国後、DIYパネルにしようと関西では有名なホームセンターのコー○ンを訪れた。
パネルは高校生の頃にはかなりの数を持っていたが、自分で造るのは今回が初めてだ。だから一応ネットでパネルの作成方法も調べた。
それによると、片面に接着剤の貼られたアクリル板にポスターを貼り付けるのが一番楽な方法だと書いてあった。
購入した地図はサイズが110×160もあるからアクリル板だけでは強度的に持たないだろうから、後はコー○ンで事情を説明してアドバイスをもらおうと思った。
コー○ンのレジでパネル作成について詳しい人を呼んでもらう。
30台中ごろの男子店員が応対に来た、パネルサイズを伝えて片面接着剤のアクリル板は地図サイズよりもやや小さいものしかないとのことだった。
しばらく考えたが、初めてパネルを作成する自分がいきなりコンパネ(ベニヤ板)に貼り付けるのは難度が高いことだと店員がアドバイスするので、地図全体をパネルに出来ないのは残念だが、やや小さいアクリル板と強度補強のための5mmのコンパネを購入した。
そして自宅に帰り、アクリル板の接着シール面をはがそうとしたが、なかなかうまくめくれない。
おかしいと思い、よく見るとそこには接着シールなんか貼ってはいなかった。両面ともただのアクリル板なのだ。
すぐに店に電話し、事情を説明した。
電話に出た店員はすぐに店長にかわった。
店長は詳しい説明を聞いた後、「当該店員に事情を聞き、折り返しどう対処させていただくか、こちらからお返事します」、と言った。
すぐに電話があり、「当方の完全なミスであり、今のいままで当該店員もアクリル板に接着剤が付いているものと認識していました」とのこと。そして対策としては「幅の広い両面テープを今から自宅まで届けるのでそれをとりあえず使ってみてくれませんか」という内容だった。
そういうことであれば勿論了承。
すぐに届けられた両面テープを受け取り、届けてくれたお店の方に「これでうまくいったらお店にご報告しますね」とお礼とともに述べた。
さっそくアクリル板の全面に両面テープを貼り付け、その上から地図を貼った。
この方法はうまくいったので、すぐコー○ンの店長にお礼と報告の電話を入れた。
ここまで作業を終えたので後はアクリル板を補強するコンパネに張る作業だけ・・・。ここでふと気が付いた。
この方法なら最初からアクリル板ではなくコンパネに直接両面テープを貼っていれば世界地図全体が隠れる部分もなく全て見られたではないか。 Oh!MY GOD!
それからの作業は極めてテンションの低いものでしたが、なんとか無事に完成したのが上の画像だ。
オーストラリアの南東方向にかすかに見えているのがニュージーランドの南島。
北島にいたってはその形さえ見えなくなってしまっている。
でも、この世界地図を部屋に飾れば、たとえ見えなくなっていても、いつだって楽しかったニュージーランドのことを、湖が美しかったテカポや海辺から雪山が見えたカイコウラのことを、昨日のことのように思い出すだろう。