大阪天満、日本一長いと言われる天神橋筋商店街のある町としても知られている。

 自営業をされてる方が多い町なので、ガラはけっして良くはない。

 大阪を知らない人間が口のききかたを間違えればボ○ボ○にされることもあった。

 <今はそんなこと全く、いや少ししかないです、念のため。>

 cologneの古くからの友人も多く住んでいる町。

 この町に「K三兄弟」という有名な兄弟がいた。

 印鑑に文字を彫るのを商いとする家に生まれた男三人の兄弟。

 長男と次男は東大、そして大学院へと進む。

 出来が悪いと言われた末っ子も京大に進学した。

 同じ高校ではなかったけれど、近所に住む同級生を通じて知り合った。

 頭のいい兄を持った者同士、すごく気があった。

 遊びをあまり知らなかったみたいで競馬・麻雀・タバコ・パチンコみんな教えて連れて行った。

 パチンコ屋ではパチンコ球に油をつけると抵抗が減ってよく入るから「顔に浮いてる油をパチンコの玉に塗れよ」、と冗談で言ったら素直に本気にして、顔を手でこすってはせっせとパチンコ球を握って顔の油を塗っていた。

 偶然だったのだろうが、良く入って彼一人が大勝ちした。


 そんな彼の唯一の趣味が音楽。

 普段何も話さないのに、家に遊びに行ったらレコードだけの棚が天井から床までびっしりだった。

 M・T・B(マーシャル・タッカー・バンド)やN・G・D・T(ニッティー・グリティー・ダート・バンド)、CSN&Y(クロスビー・スティルス・ナッシュ・アンド・ヤング)等長い名前のバンドはなぜか彼から教わった。

 そして彼は大学卒業後、大手酒造会社に就職、東京へ行ったことにより会う機会もほとんどなくなった。


 そして数年後、会社の警備を当社に委託してもらえませんかと、飛び込みの営業マンが会社を訪れた。

 正確には営業マンではなく、警備会社の代表取締役の女性が営業活動でcologneの勤務する会社を訪問したのだった。

 まだ20代半ば、cologneより少し年下という感じの、気の強そうな美人だった。

 珍客という感じで応対していたら、会社の所在地が天満とのこと。

 多分知らないだろうと思いながらも「天満といえば有名なK三兄弟知ってる?」一応聞いてみた。

 「エッーー!、K三兄弟さん、すぐ近所ですよ、頭よくて優しくて、小さい頃よく一緒に遊んでもらいました」

 一気に話がはずんでしまって、思わず「天才っていうのは、ああいうガラの悪い町から突然変異のように現れますね」と口がすべって言ってしまった瞬間、女性社長が「天満をハキダメだと言うんですか!」凄い剣幕で言われ、こちらがしどろもどろになっていると、畳み掛けるように「そしたら私は鶴ですかっ!?」 


 近くで話を聞いていた総務部長や総務の他の社員まで爆笑の渦になった。


 こちらがつい口を滑らせて言ってしまった暴言を、聞かなかったふりはせず、きっちり暴言として抗議し、そのうえでサラリと笑いに切り替える頭の回転の速さとセンス。

 それ以来その警備会社にセキュリティを任せるようになりました。

 

 K三兄弟の末っ子、cologneの友人はその後大阪に戻ってきたのですが、営業活動のための新地クラブめぐりで、底なしと言われていたくらい強かったお酒で体を壊してしまいました。

 毎晩一軒のお店で挨拶代わりに水割りを一杯付き合いで飲むだけでも、一晩に最低20軒のお店を訪問しなければならない。

 体壊す前に、お酒断ればいいのに、頭はすごくいいけど、それ以上に人間がいい奴だから断れなくて、出された水割り、体調が悪くても訪問した全部の店で、総て飲み干してから次のお店に周っていたそうです。

 

頭も人柄も最高の友人、K三兄弟の末っ子と繋がった昔の話。



 PS ちなみにこの三兄弟、上から一郎、二郎、三郎といいます。