どこまで遡ればいいのかわからない、というのが70年頃から音楽を聴き始めた世代のひとつの大きな疑問ではないでしょうか。

 もちろんそんな理屈っぽいことを抜きにして楽しめればそれでいいのですが、自分の好みの音楽はどういった流れの中から生まれてきたのか、知りたい気持ちがあるのもまた自然な欲求だと考えます。

 そんな大それたことを簡単には究明出来ないので、今日は単純に融合から生まれた名曲をひとつ取り上げます。


 60年代といえば音楽的には完全に後追いでリアルタイムではほとんど知りません。

 それでも代表的な存在として名前を挙げるならビートルズとボブディランではないでしょうか。

 

 世の中にミスターという言葉で始まる多くの曲は60年代に発表されたような気がします。

 しっかり調べたわけではないので誤りがあるかもしれません、ご容赦ください。 

 「ミスター・ムーンライト」「ミスター・ロンリー」「ミスター・タンブリンマン」「ミスター・マンデー」等です。

 今回取り上げるのはザ・バーズの「ミスター・タンブリンマン」。

 去年くらいまでトヨタのCMで流れていたので聴いた方も多いと思います。

 

 彼らの甘い歌声はビートルズを、そして演奏した曲はまさにボブディランのものなのです。

 本来ボブディランのアルバム「アナザー・サイド・オブ・ボブ・ディラン」に収録される予定だったのがトラブルでザ・バーズに回ってきたのです。

 ザ・バーズ自身がビートルズとボブ・ディランの融合によるフォーク・ロック・サウンドの確立を目指していたときだったのでまさにうってつけでした。

 そして曲はボブディランでアレンジをビートルズっぽくすることで1965年「ミスター・タンブリンマン」をひっさげてデビューを飾り、いきなり全米ナンバー1に輝いてしまいました。

 彼らが考えたビートルズとボブ・ディランの融合というアイデアは、もうすでに斬新なものとしてではなくアメリカの大衆が充分に受け入れる体制が出来ていたのも大きな要因であったのかもしれません。


 しかしただ単に時代のトップを走る一人とグループを模倣しただけの曲が偶然全米1位になったり、40年後の今日、CMで聞くことができるでしょうか。

 そこにはボブディランという不世出のフォークシンガーとビートルズ初期のリバプールサウンドがまさに融合し、それをフォーク・ロック・サウンドという形で、見事なまでに完成させたバーズの存在なしにはなしえなかった名曲の誕生といってよいのではないでしょうか。