アビトゥア ‐ シュタイナー学校の場合 | ミュンヘン・ カフカ通り徒然日記

アビトゥア ‐ シュタイナー学校の場合

大変ご無沙汰しております。
忘備録兼ねて近況報告です。

昨日、息子の卒業式とも言えるアビトゥア(大学入学資格試験)授与式がありました。
我が家のシュタイナー学校13年間、いや、幼稚園時代を含めれば16年間のお付き合いに
とりあえず終止符を打つことになります。感無量。

日本の入試が各大学ごとに行われるのに対して、ドイツではアビトゥアを取得すれば
基本的には国内の全ての大学への入学が可能になる教育システム。
もちろん医学部など難関学部や人気殺到する大学・学部では
その点数で振り分けるシステム(Numerus clausus)を設けているので、それなりの制限はあるのですが。
試験実施方法としてはセンター試験に通じるものがあるかもしれませんね。

そもそも大学進学を目的とする一般校(ギムナジウム)の卒業試験であるアビトゥア。
12年一貫教育で独自のカリキュラムで総合的人間形成を目指すシュタイナー学校でも、
特別に受験勉強のための13年生を設けています。
試験科目は全部で8科目。学校によって提供できる教科にズレがあります。
息子たちの場合内訳は以下の通り:

①ドイツ語(所要時間5時間)
②数学(4時間45分)
(必修・数州共通試験)

③英語/生物/美術 から選択
④歴史/地理 から選択
(各3時間)

この4科目はいわゆる主要科目で総合点の4分の3を占め、5~8科目目は採点比重が軽い。

⑤英語/美術 から選択
⑥フランス語/ラテン語 から選択
(口答試験 テキスト購読含めて1時間)

以上の6科目は5月に3~5日の間隔で実施されます。

⑦地理/歴史 から選択
⑧生物/化学 から選択
こちらの2科目は2月~4月上旬にかけて授業中に行われる3回の試験の平均点。

①にドイツ語②に数学というのは動かせないけれど、一般校なら他の教科は選択肢がもっと広いはず。
で、彼の場合、絶対に美術は取りたくないという意固地な考えから(笑)
必然的に3科目目=生物 5科目目=英語 8科目目=化学。
他の生徒も少しずつ異なるとはいえ、まあ似たようなコンビネーションにならざるを得ないのが
シュタイナー学校など一部私学に課された「ペナルティー」なんでしょう。




採点は各科目15点満点で、それをさらに
①~④ 各11倍
⑤~⑧ 各 4倍
で総計して、最高900点で300点以上が合格となります。
しかも条件は
☆1科目でも0点を取ったら不可
☆①から④の総合点220点以上
☆⑤から⑧の総合点80点以上

が、通常「アビトゥアの点数」はこの三桁数でなく、下の表の様に1,0~4,0に換算された数字で解釈されます。
大学側が要求するヌメルスクラウズスがこの数字。
例えばミュンヘン大の医学部は1,0が条件とか(^^;)

13年生になって以来、それまでと全く違ったアプローチで勉強するわけで
各生徒とも多かれ少なかれ戸惑ったことと思います。
うちの息子は男子の常でw「ギリギリで通ったってアビはアビさ、
ガリ勉なんてカッコ悪い」などとクールに決めていたけど、
最終的にはやっぱり出来るだけいい結果を出す!と少しは野心が湧いた模様(笑)。
しかし人生の大きなハードルを一つ乗り越えてしまうと、今度はいつからどこで何の勉強するつもり?と懲りずに気になるのが親心でございます。