アリオダンテでバロック総合芸術体験 その2 | ミュンヘン・ カフカ通り徒然日記

アリオダンテでバロック総合芸術体験 その2

最高のムードに包まれ期待が高まったところで
緞帳の前に指揮者がポリネッソとその手下たちに銃を突きつけられながら登場。
楽譜を手渡されオーケストラピットに追い込まれる、なんて芝居がかった切り込みでオペラが始まる。

このアリオダンテはこれからいくつかの小都市を巡業するとあって
その便宜上及び経費節約から生まれたアイディアがいっぱいの舞台でした。
衣装も含めて白・黒・グレーを基調にしたシンプルな美しさだし
背景はプロジェクターを駆使して、室内や森の中やスコットランドの雨模様にも早替わり。
同時に字幕の役目も果たしていました。
スコットランド=雨=傘と連想して、傘が重要な小道具として活躍する。
ある時は傘や隠れ蓑、またある時は剣であり銃でもあり、白い傘は雲や太陽にもなる。

それから、黒子とも家来とも言える人間がちょくちょく登場しますが
パンフレットに載っている名前は歌手6人+ダンサー1人のみ。
どうやらあれは出番のない者が演じていたみたいで
総動員で劇を作り上げてるのに、でもスッキリと引き継がれザワザワした感じがなくて不思議。

歌手陣の中では何といってもアリオダンテが一番光ってました。
フォンオッター風スラリと長身ショートカットでかっこいい
オランダ人メゾOlivia Vermeulenは声量十分美声の持ち主です。
Dopo Notteをはじめとして数々のアリアを見事に歌い切りダカーポ部分も素晴らしかった。
カサロヴァ姐さんよりずっとずっと正統派で良かったと思うわぁ(o^-')b 
Con l'ali di constanzaなんて踊って手拍子とって歌謡ショーのノリよ。
「我が人生楽しくって悩み無し」能天気なアリオダンテを強調したんでしょうね。
それだけに後半の落ち込みどん底がより強調されるというもの・・・。
あ~しかし、アリオダンテの二元的思考回路ってお笑いに近いものを感じたりします。

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皆さんまだまだこれからの若手なのでしょうけれど、立派な歌と演技で観客は大満足。
何度も何度もカーテンコールでブラボーと大拍手を受けていました。
ワタクシ的にはポリネッソと父王がやや力不足という印象かな。
特に悪玉ポリネッソは小柄で華奢なメゾじゃなくって
一昨年の学生オペラで素敵なルッジェーロだったローランド・シュナイダー君ので見たかった。
そもそも彼のHPを通して偶然このアリオダンテを発見したんだしね・・・
ダブルキャストの彼、どうやら他の都市で歌うみたい。ざんね~ん。

14人程の編成のオケもこのサイズの劇場なら問題なく隅々まで音が行き渡る。
彼らはコジ・ファン・トゥッテ(女はみなこうするもの)をもじって
コジ・ファッチアモ(こうするのが僕ら流(?)と命名された古楽アンサンブルは
サルツブルクのモーツァルテウム音楽アカデミー在学中に意気投合した音楽家たちの集まりです。
古楽と現代音楽をレパートリとして、一定間隔でバロックオペラを上演してきたという。
そりゃあ例えば先週のケルメス姐の時に較べたら、迫力も個性もこれからって感じかもしれないけど
アットホームな雰囲気に融け込み満足のいける演奏だったと思います。
歌手共々今後の活動にチェックを怠らないようにしよう。

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う~ん、やはり女同士って怪しげだが、ナイーヴなアリオダンテには丁度いいかも。
ジネヴラちゃんはレイチェル・ワイズとキーラ・ナイトレーを足して二で割ったカワイ子。

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字幕もこうして背景に組み込まれ、とっても芸術的効果あり。

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こちらの背景は姫のお部屋。さりげなくヘンデル御大の肖像画など・・・
ダリンダ役のソプラノもトゲトゲしてなくていいお声でしたね。