メルヒェンに隠されたもの ルサルカ
万聖節の前夜であり、精霊が飛び交うハロウィーンでもあった日曜日に
何やらぴったりなオペラ「ルサルカ」を観てきました。
2011年からお隣のレジデンツ劇場監督に就任予定のマルティン・クシェイ氏(オーストリア)の演出とあって
演劇として「見ごたえのあるもの」になるとは予想していましたが・・・
すでにプレミエ前から、本物の鹿の屍を使われることに動物愛護協会からクレームがついた云々
各マスコミが騒ぎ立てたのも最高の宣伝になったか、軒並みソールドアウトだそうだ。
私たちの席は天井桟敷のほぼ正面2列目で39ユーロ。
今になってみれば、チケットが取れただけでもラッキーだったわけです。
さて、蓋を開けてみると鹿問題は二の次。
「人魚姫」や「ウンディーネ」とルーツを共にする、悲しくもロマンチックなチェコの民話を
メルヒェンの裏に隠されたドロドロした人間ドラマとして表現。
水の精ルサルカと仲間たちは、数年前オーストリアで発覚した近親相姦事件の如く
彼女たちの主であるワッサーマンによって地下室に囲われ弄ばれている。
そしてルサルカが憧れた人間界は、裏切りや嫉妬や淫猥が蔓延るところである。
狩人が鹿の皮を剥ぎながら姪っ子に悪戯する。
純白のウェディングドレスを纏った娘たち(女装男も混じってた)が鹿の屍を抱えて踊り
挙句の果てには血みどろになりながら、その臓を貪るシーンもおぞましくも圧巻だった。
同行した夫は「そんな大騒ぎするような演出じゃないよ。なかなかいいじゃないか」と言ってます。
確かに、ありきたりな人魚姫物語だったら面白みがなかっただろうしね。
魂(Seele)というものを持たないルサルカは
王子が情熱的な外国の王女に誘惑翻弄されるのを、為す術もなく傍観するだけ。
夢破れ、水の精に戻ることも死ぬこともできずに
この世とあの世の間をさまようのであった。
(あらすじはウィキ→を参照ください)
本番を見るまでは、クシェイ氏の解釈の方に関心が向きがちだったけれど
肝心の演奏は美しくかつ力強く素晴らしいものでした。
ドヴォルザークの音楽はワーグナーの様にドラマチックで
その中にスラブの民俗音楽を思わせる哀愁を帯びたメロディーがちりばめられ
どこか仄々と昔懐かしい気分になってしまった。
それだけに、ところどころクシェイ氏のシニカルな視点とチグハグな印象を持ったりもしました。
ルサルカはニーナ・シュテンメがこの役は現在の声の成長段階にそぐわないという理由で降板したため
ラトヴィア人ソプラノのクリスティーナ・オポライス嬢が受け持ちましたが
「飛び入り」という印象は全くなく、堂々とした歌唱と難しい演技もこなす役者ぶり。
金属的な響きのテノール・金髪長身のクラウス・フロリアン・フォクトは
中間色のない二元的キャラの王子様役にピッタリでしたわね。
燕尾服姿も凛々しくってカッコよかったし。
(舞台後方で延々と王女様と濡れ場を演じなきゃいけなくって気の毒だったな・笑)
天井桟敷からは判断しにくいけれど
細かい仕草や表情にも色んな意味が込められていたのだと思う。
もし映像化されるんだったら、ぜひじっくり見てみたいです。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
Musikalische Leitung Tomáš Hanus
Inszenierung Martin Kušej
Der Prinz Klaus Florian Vogt
Die fremde Fürstin Nadia Krasteva
Rusalka Krístīne Opolaís
Der Wassermann Günther Groissböck
Die Hexe Janina Baechle
Der Förster Ulrich Reß
Der Küchenjunge Tara Erraught
1. Waldnymphe Evgeniya Sotnikova
2. Waldnymphe Angela Brower
3. Waldnymphe Okka von der Damerau
Ein Jäger John Chest
何やらぴったりなオペラ「ルサルカ」を観てきました。
2011年からお隣のレジデンツ劇場監督に就任予定のマルティン・クシェイ氏(オーストリア)の演出とあって
演劇として「見ごたえのあるもの」になるとは予想していましたが・・・
すでにプレミエ前から、本物の鹿の屍を使われることに動物愛護協会からクレームがついた云々
各マスコミが騒ぎ立てたのも最高の宣伝になったか、軒並みソールドアウトだそうだ。
私たちの席は天井桟敷のほぼ正面2列目で39ユーロ。
今になってみれば、チケットが取れただけでもラッキーだったわけです。
さて、蓋を開けてみると鹿問題は二の次。
「人魚姫」や「ウンディーネ」とルーツを共にする、悲しくもロマンチックなチェコの民話を
メルヒェンの裏に隠されたドロドロした人間ドラマとして表現。
水の精ルサルカと仲間たちは、数年前オーストリアで発覚した近親相姦事件の如く
彼女たちの主であるワッサーマンによって地下室に囲われ弄ばれている。
そしてルサルカが憧れた人間界は、裏切りや嫉妬や淫猥が蔓延るところである。
狩人が鹿の皮を剥ぎながら姪っ子に悪戯する。
純白のウェディングドレスを纏った娘たち(女装男も混じってた)が鹿の屍を抱えて踊り
挙句の果てには血みどろになりながら、その臓を貪るシーンもおぞましくも圧巻だった。
同行した夫は「そんな大騒ぎするような演出じゃないよ。なかなかいいじゃないか」と言ってます。
確かに、ありきたりな人魚姫物語だったら面白みがなかっただろうしね。
魂(Seele)というものを持たないルサルカは
王子が情熱的な外国の王女に誘惑翻弄されるのを、為す術もなく傍観するだけ。
夢破れ、水の精に戻ることも死ぬこともできずに
この世とあの世の間をさまようのであった。
(あらすじはウィキ→を参照ください)
本番を見るまでは、クシェイ氏の解釈の方に関心が向きがちだったけれど
肝心の演奏は美しくかつ力強く素晴らしいものでした。
ドヴォルザークの音楽はワーグナーの様にドラマチックで
その中にスラブの民俗音楽を思わせる哀愁を帯びたメロディーがちりばめられ
どこか仄々と昔懐かしい気分になってしまった。
それだけに、ところどころクシェイ氏のシニカルな視点とチグハグな印象を持ったりもしました。
ルサルカはニーナ・シュテンメがこの役は現在の声の成長段階にそぐわないという理由で降板したため
ラトヴィア人ソプラノのクリスティーナ・オポライス嬢が受け持ちましたが
「飛び入り」という印象は全くなく、堂々とした歌唱と難しい演技もこなす役者ぶり。
金属的な響きのテノール・金髪長身のクラウス・フロリアン・フォクトは
中間色のない二元的キャラの王子様役にピッタリでしたわね。
燕尾服姿も凛々しくってカッコよかったし。
(舞台後方で延々と王女様と濡れ場を演じなきゃいけなくって気の毒だったな・笑)
天井桟敷からは判断しにくいけれど
細かい仕草や表情にも色んな意味が込められていたのだと思う。
もし映像化されるんだったら、ぜひじっくり見てみたいです。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
Musikalische Leitung Tomáš Hanus
Inszenierung Martin Kušej
Der Prinz Klaus Florian Vogt
Die fremde Fürstin Nadia Krasteva
Rusalka Krístīne Opolaís
Der Wassermann Günther Groissböck
Die Hexe Janina Baechle
Der Förster Ulrich Reß
Der Küchenjunge Tara Erraught
1. Waldnymphe Evgeniya Sotnikova
2. Waldnymphe Angela Brower
3. Waldnymphe Okka von der Damerau
Ein Jäger John Chest