初めて生ワーグナーを堪能 | ミュンヘン・ カフカ通り徒然日記

初めて生ワーグナーを堪能

キリスト昇天祭の昨日
こんな暑い日はオペラの気分じゃないなぁなんて言ってる夫を引きずって
州立劇場へDer Fliegende Holländer(さまよえるオランダ人)を観にいく。
実は私、今までワーグナーオペラを生で観たことがなかったんです。
ドラマチックな超大作というイメージで
怖くて手をつけられないといったらよいでしょうか。
(考えてみたら映像でも未経験かも・・・)
はっきり言って食わず嫌いしてました。

「さまよえるオランダ人」はパイレーツ・オブ・カリビアンドクロを彷彿させるストーリーだし
(・・というか、こっちが大元ね)
ワーグナー物の中でも一番短い(2時間15分)というので
初心者のワタクシはまずはここから入ろうと思った次第です。

・・・・・・・・・・・・・・・

休日で開演が16時のため
まだまだカンカン照りの中、早々に地下鉄でオデオン広場に出る。
み~んなラフな恰好でアイス食べながらブラブラしたり自転車漕いだりして
まるで夏休みの雰囲気なんだな~。
彼らを横目に劇場に向かいながら、天井桟敷はムンムン暑いんじゃないかと
(ネクタイをつけた夫が特に)ちょっと心配・・叫び

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2ヶ月前から売り出しになる残りものチケットのネット販売で
最上階だけど真ん中寄りでまんざら悪くない席を取っておきました。
演目・出演者・曜日によってお値段が変ってくるので
今回は39ユーロとやや高めだ。

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立ち見やスコア席まで一杯の満員御礼の観客席の照明が落とされ
ジャジャ~~ンっと始まった前奏曲からして度肝を抜かれましたね~。
なんたってオケの規模が繊細なバロックとは全然違う。
しょっぱなから金管が大活躍の迫力で圧倒され
すでに鳥肌が立ちっぱなしの私でした。
うわ~いいじゃないの~ワーグナー!?(今頃遅いんだってば)

お話の筋はWikiロンドンの椿姫さんの3月ROH上演時リポートをご参照ください(と手抜きする私)。

主役オランダ人とセンタを演じるのがロンドン版と同じ
ブリン・ターフェルアニヤ・カンペ嬢
彼らの歌いっぷりと同時にミュンヘン版演出はどんなか、それも楽しみの一つでした。

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隣のお姉ちゃん風なアニヤですが・・

指揮 Cornelius Meister
演出 Peter Konwitschny

Daland  Matti Salminen
Senta  Anja Kampe
Erik  Endrik Wottrich
Der Steuermann  Kevin Conners
Der Holländer  Bryn Terfel

一幕目は幽霊船とその船乗りたちがオドロオドロしいオーソドックスな雰囲気。
立派な体格のブリン・オランダ人とダランド役マッティ・サルミネンが
どっしりと低音バリバリに歌いまくるので
舵手のテノールが超軽量級に聞えてしまうくらい。
ところが、故郷で父の帰りを待つセンタが登場する二幕目の幕が上がると
突然場面は目がクラクラしそうに明るいフィットネスセンターに変身!
女性陣の皆さん、自転車漕ぎながら歌って息切れしないのね・・と妙に感心する。
でもどうしてフィットネスじゃなきゃいけないんだろうっと考える私。
センタが恋人がいるにも関わらず
いつまでも「真の花嫁を求めて7年に一度現れるというオランダ人」に憧れる
ごく普通の乙女チックな女の子のステレオタイプと言いたかったのかしらん?
しかし、フィットネスセンターではなぁ~私も通ってるんだけどねぇ・・・と
ちょっと腑に落ちない。
(ストレッチしながらアイドル歌手のうわさ話なんぞに現抜かしてるってか??ギクっ!)

これが・・・・
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                                こうなる。
そんな背景はともかく
アニヤ・カンペはそのへんにゴロゴロしてそうな人懐こいお姉ちゃん風貌と似つかわしくない
ものすごい声量のソプラノで素晴らしかったです。
高音もオケの演奏にかき消されずにパワフル。
(あれは伴奏ではないですね!歌手とオケとどっちが主役か競ってるようにも聞えちゃったわ)

ドラマチックな音楽は次から次へと
すでにどこかで聞いたことのあるメロディーのオンパレード。
あまりにも有名でBGMやらコマーシャルやらに使われるのかしら。
昔のハリウッド冒険物映画のサントラのようにも聞える。

コーラスも含め、とにかく全てが重厚で壮大でフォルテッシモで
ワーグナーは生で聴かないといけないんだって実感しました。
最後がまた意外な終わり方で、なかなか面白かった。
永遠に海をさまようことになるオランダ人を追って
身投げするセンタのはずが
ここでは火薬の入ったドラム缶に火を点けて自爆するの。
いきなりボン!って巨大音とともに炎が上がった瞬間
劇場中の照明が全部消えて真っ暗。
しばらく続く沈黙に、ええええっ?停電?何か手違いでもあったの?って
夫にヒソヒソ話しかけちゃったわよ。

そして再度明かりがつくと
嵐のようなブラボーが延々と続きました。
カーテンコールは少なくとも5回。
私たちが席を立った後もしばらく拍手鳴りやまずでしたから
さらに2,3回はあったんだろうな。

・・・・・・・・・・・・

劇場を出ると
ムっとくるアスファルトの熱気の向うに
真っ黒な雷雲が広がってた。
おおっとぉ・・怪しいなあと言いつつ電車に乗り
車を駐車しておいた途中の駅に着く頃には雷バリバリ横殴りの雨嵐。
ワイパーが間に合わないくらいの土砂降りの中を家に向かったとさ。
報われぬオランダ人の怨念か?