Lichter
冬休みは結局Buddenbrooksも見に行かず終いだったくせに
近頃レンタルDVDではアウグスト・ディールものを制覇しようと
傷物再生不可で送り返したりした挙句に
昨日やっと見ましたLichter(2003年)
この間のNichts als Gespenster 同様、またまたオムニバス作品です。
監督はアウグストのデビュー作「23」 のHans-Christian Schmid。
彼の作品は数本見た限りですが、
ハンドカメラを使用してドキュメンタリー的リアルな独特の雰囲気。
それから、これはポーランド映画かっ?と思わせるほど
物語中ポーランド語(とウクライナ語も)がかなり多くて
ひたすら字幕とにらめっこ![]()
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主要な出演者:
アウグスト・ディール - 建築家の卵フィリップ
マリア・シモン - 通訳ソニア
ズヴィグニェフ・ザマホフスキ - タクシー運転手アントニ
イヴァン・シュヴェドフ - ウクライナ逃亡者コリヤ
セルゲイ・フロロフ - 同・ディミトリ
アンナ・ヤノフスカヤ - 同・その妻アンナ
Willkommen in der Wirklichkeit(現実世界にようこそ)というコピーがうなずける
(多分)日常ありきたりの5つのエピソードが描かれます。
ベルリンを目指すウクライナからの逃亡者の一行
目的地に着いたとトラックの荷台から下ろされるが
そこはまだポーランドなのに気づく。
何とかしてオーデル川=ドイツとの国境を越えるために
そこに住む普通の人々と接触する・・・。
フランクフルト・アン・デア・オーデル(ドイツ Frankfurt an der Oder)で:
寝具店の店長インゴは商売下手で借金地獄。
日雇いのアルバイトにも賃金を支払えない。
終いには資本であるマットレスも全部差し押さえられて途方にくれる。
唯一、無償で助けたいと思う従業員シモーネの好意(愛情?)も気がつかない。
スュビッツェ(ポーランド Słubice)で:
タクシー運転手アントニと妻ミレーナは
初聖体のためのドレスを愛娘に買ってやりたいが・・・。
ついさっきもインゴのところでアルバイト料をもらえなかったミレーナ。
アントニは残業してでも何とかお金を捻出しようとする。
そして国境越えしてくれれば・・と懇願する赤子連れのウクライナ人夫婦に出会う。
ウクライナからの逃亡者を手助けするソニア(マリア・シモン)
フランクフルトで:
ソニアは国境警備事務所で通訳として働いている。
感情禁物の仕事のはずだが
若くナイーブな彼女は、不法入国に失敗して尋問されるコリヤを
なんとか助けてやりたいと心から思う。
フランクフルト郊外:
タバコ密輸グループの下っ端少年アンドレアス。
彼のほのかな恋心を利用するカタリーナは
もうけたお金と一緒に逃げようとそそのかすが失敗に終わる。
ボスと仲間、そして何事もなかったの様にもとの鞘に戻るカタリーナに
復讐する少年。
スュビッツェで:
新工場建設プロジェクトの一員である
新米エンジニア・フィリップは
ポーランド側との談合で元恋人のベアーテに遭遇する。
彼女は身勝手で連絡を絶ってしまった彼に失望、
やっと「新しい生活環境」で再スタートしたばかりなのだった。
ポーランドの元恋人と再会するフィリップ(アウグスト)
たった2日間のあいだのさまざまな人間模様が
説教がましいせりふも
お涙頂戴のシーンも
ドラマチックな結末もなく淡々と進行していきます。
だからこそ
わざとらしさとは無縁で、登場人物の心の動きに共感できる。
困っている人を助けたい・・という「親切心、好意、真心」と
厳しい現実を目の前にした時の「裏切り、ウソ、ずるさ」って
案外隣り合い共存しているもの?
それが日常・ありきたりの人間の姿さ、と言おうとしてるのでしょう。
それぞれの話が「報われない好意」や「不本意な仕打ち」で終わりますが
悲劇でも喜劇でもない、
う~ん、現実って結構そんなもんかも・・と思わせられました。
タクシー運転手アントニがいい味だしてますね。
身の危険を冒し、良心の呵責にさいなまされた挙句に
やっと白いドレスを手にするけど、そんな苦労は無用だったの。
あらら・・・ご苦労様でしたって声を掛けたくなるエンディング。
アウグストはここでも5分の1しか登場しませんが
存在感はすごいですね。。目が釘付けになっちゃいました。
彼によりを戻そうって哀願されたら、
私だったら、はいそうしましょってすぐにOKするのにな~。
ベアーテにはそうできない理由があるのだが・・。
マリア・シモンはロシア語をベラベラと流暢にしゃべってます。
それもそのはず、彼女はカザフスタン生まれの独露ハーフなんだそうだ。


