Nichts als Gespenster
ご贔屓アウグスト・ディールの作品というので
Nichts als Gespenster(2007年)を借りてみた。
若いドイツの旅人たちのそれぞれを描いたロードムービー。
5つのエピソードが旅の始まりから終わりまで交錯します:
1.アメリカ縦断旅行しつつも
マンネリ化して相手のいやなところばかり鼻につく、別れ間近のカップル。
疲れ気味関係のフェリックスとエレン 普通のドイツ青年役もできるの
アウグストとマリア・シモン(「グッバイ・レーニン」の妹役)が
一緒行動しているのに気持ちがバラバラな2人を演じてます。
西部の田舎町のモーテルで、地に足がついた地元の人間と話すうちに
ないものねだりの独りよがりな自分たちに気づく。
人間は相手をそのままで受け止めるべきだと・・。
アウグストは今回は普通(!)の若者をリアルに演じてます。
写真取りまくるエレンに腹が立つ。
「なんで写真ばっかりとるんだよぉ!」(ムカつくな~)
「だって、みんなに報告するのに写真があったほうがいいじゃないの」
「今ここにいるって事実が大切なんで
風景や体験は目に焼き付けておけばいいんだ!」
・・・なんて会話が続き、やがて次第にそんな意見の交換すら面倒になる。
2.それぞれ恋に破れたばかりの親友同士の男女が
アイスランドの友達夫婦を訪ねるうちに、お互いを意識しあうようになる。
雄大なアイスランドの自然やキャンドルライトの中語り明かす夜・・・
2組の男女の嫉妬と友情が入り混じった微妙な感情が
彼らを近づけただけなのだろうか?
3.地方都市から親友に会いにベルリンに行くが、
そこで彼女の憧れの君と親密な関係になってしまう女性の困惑を描く。
無邪気に「憧れの君」のことを告白するルートにかくれて
ラウル(スタイプ・エルツェッグ!)と秘密を持つ主人公カロ
この2人の謎めいた危険な雰囲気、よいです。
アブナイ魅力のスタイプ・エルツェッグ・・・
4.ハリケーン迫る重苦しい雰囲気のジャマイカで
現地の男との目線だけの恋のやりとり・・・その行方は?
ワンナイトスタンドなんて許せないっとか思いつつ
その黒人の男が気になって仕方ないクリスティーネ。
感情の波と嵐の前の静けさが同時進行します。
ジェシカ・シュヴァルツの健康的明るさと
クリスティーネ役のブリギッテ・ホプマイヤーの
マドンナかモナリザを彷彿させる冷たい色気が対照的。
5.成人はしてるが精神的に親離れできない女性(フリッツィ・ハバラント)が
旅行中の親とベニスで合流する。
娘に決定権を与えずいつまでも支配的な親。
そこから自立しようともがく姿が痛々しい。
旅が終わって別れる時、親からの巣立ちと思えて
感極まって独り泣きじゃくるマリオンだった。
フリッツィは決して美女とはいえないけど
それだけに「演技」してるのを忘れさせてくれる
上手い女優さんです。
痴漢に追われたり、まだまだナイーブなマリオンだったが・・・
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これといったクライマックスもなく、淡々と語られるゆえに
ごく普通の人間像が浮き立ってきますね。
あぁ、こういう状況あるな・・・とか
こういう人いるな・・もしかして自分もそうかな・・とか。
見知らぬ土地を旅することは
同時に自分発見の旅ということでしょうか。
美しい旅の「映像」と
変にメランコリックでもなく押し付けがましくないストーリーに
見終わってしばらくたってから
ジワーッときてます。




