アウグスト・ディール
ドイツの若手俳優アウグスト・ディール(August Diehl)のデビュー作
”23 Nichts ist so wie es scheint”(邦題: 23)
監督はハンス・クリスティアン・シュミット(1998年製作)
東西冷戦も末期の1980年代半ば。
高校生カール・コッホは核反対平和運動のデモに参加するような
正義と理想に燃える若者だった。
それは、タカ派的新聞を書く父親に対する反逆でもあった。
彼の愛読書は「イルミナティ」だ。
その中で語られる
「世界は秘密結社イルミナティの陰謀に操られ、
彼らの犯罪にはことごとく数字23が関係している・・」という論理に獲りつかれる。
その隠された秘密を暴こうと
コンピューター・フリーク仲間と始めたハッキングだったが・・・
東側のスパイとコカインディーラーの
ハッキングを通して得た情報をKGBに流せば大金を稼げる・・という誘いにのる。
当初はうまく事が運んだものの
徐々にコカイン中毒・・・警察の盗聴・・・人間不信・・・誇大妄想・・・と
どんどん底なし沼に落ちていく若者。
友達は全て去り、罪悪感と孤独に絶えられず
ついには23歳の年に・・・。
この、ハッカーによる西側情報流出は実際にあった事件だという。
真摯な若い精神が政治体制に利用され抹消されていくプロセス。
気がついたら、もがいても抜け出られない歯車のほんの一部になってしまった
カールを演じていたのが、アウグスト・ディールなんです。
よくいる怒れる高校生風じゃない?アウグスト君 麻薬中毒のシーンなど迫真ですね・・・
1976年ベルリン生まれの彼、
演劇と映画と両方で活躍中ですが
この作品が映画デビュー(当時22歳)でドイツの映画賞新人賞各種を受賞しました。
女の子のような繊細な風貌なのに
好んで狂気めいた自爆的な青年を演じてます。
そのへんのギャップが魅力かと。
時にはサディスティックな冷たい目と強引さが・・・
またある時は神経衰弱すれすれの繊細さが・・・
好きだ~![]()
何本か見たうちで、私は
「劇場@テレビ」というシリーズで放映されたシラーのKabale und Liebe(恋とたくらみ)で
死をも恐れないロミオとジュリエット的な恋人たちを好演してたのが印象に残ってる。
年末封切りになる最新作はトーマス・マンのBuddenbrooks(ブッデンブローク家の人々)
ではデカダンに走る末弟クリスティアン役。
そうそう、デカダンなヨーロッパの香りのする俳優さんね、彼は。
これからも楽しみでございます。



