2.『間抜けな弟子・ぼんまる』松村 邦洋探偵
大阪府の男性(68)から。昔ながらの自転車に舞台を乗せて見せる紙芝居屋を40年やり、今まで何人かの後継者を育ててきた。昨年初めて大卒の23歳の青年を内弟子に取ったが、なんとも間抜けで困っている。例を挙げると、ある公演先で出された弁当に箸がついていなかったため、彼に告げると「僕のはあります」といって平然と1人で弁当を食べ始めた。そんな周りの見えないヤツに車の運転をさせるわけに行かず、普段は私が運転をしているが、紙芝居を終えて帰るとき、私よりも先に車に乗っていたこともあった。弟子が師匠よりも先に車に乗って待つとはどういうことか、と怒鳴りつけたが、翌日からも想像がつかない間抜けを連発する。真面目で決して悪い男ではないが、どうしようもない間抜けなヤツ。どうすれば、この間抜けが治せるのか教えて欲しい、というもの。

テレビ 放送された動画を見ることができます

 ナイトスクープで紹介された「ぼんまる」さん。依頼文をそのままコピーさせていただきました。

 私としても「他人事ではない」と感じました。何故なら「空気の読めない人」は実は私自身もそうだからです。今も事務所でそのことで問題になっており、当の本人は気付いていないからなのです。そのことで一番傷付き、辛い思いを多分、「ぼんまる」さんもしていると思うのです。

 お風呂は師匠が先に入るとか、先輩の紙芝居を見ることを「サクラ」って言ってしまったり、お客さん前の方の席を勧めるとか、師匠の奥さんに何気に「ババア」と言ってみたり・・・多分、純粋に「言われたこと、思ったこと」をやってしまう、言ってしまうのではないでしょうか。気遣いが出来ないのではないと、見ている限り思います。案外、合理的に、一生懸命やっていると思うのです。

 私の家でも父が一番風呂に入ることもないですし、父が先に食事をすることもありません。母は父をバカにしています。家では一番偉い筈の父は何一つ立ててもらえることはなかったような気がします。そんな中でいると「何をするべきか」分からないですよね。中学校に入って間もなくテニス部に入部しましたが、みんな先輩を「立てる」ことが出来なくて、3年生が大変御立腹し、2年生が先輩の意見を代弁するまでに好き勝手していました。家庭環境ってみんな同じ様なモノだったのかもしれません。その後、2年生は3年になり、その頃から籍を置いたまま練習に全く参加しませんでした。私達の学年って本当に「自己チュー」かもしれません。でも、要領の良さは抜群なんですけれど。

 ぼんまるさんも悪い人ではありません。今まで私みたいに経験をしたことが無かっただけ。一生懸命ノートに書いて「理解」ではなく「覚える」のですから、偉いと思います。人と違う次元で気遣いはしているハズなんです。人が望んでいることと、私が察していることの次元が違うだけ、それが人には「空気が読めない人」となっているだけなんです。

 放送後、沢山の意見が寄せられたようですが、意見が寄せられるということは、それだけ愛される人なのだと思います。きっと大物になりますよ。