朝日新聞の「患者を生きる」を毎朝読んでいます。親の後悔とか悩みを読むたびに辛くなります。
私は脊柱側弯症と顎関節症患者です。皆さんと違って難病ではありますが、通常の生活を送ることが出来るので幸せモノです。
実は小学校1年生の時に私は風疹から水疱瘡になりました。それも連日40度を超える高熱です。発疹もかなりあり、全身はもとより頭皮や喉にまでありました。歩くことも出来ません。だからトイレに行くことが大変な重労働でした。
中学校の時に「生い立ちの記」という自伝を書かされます。学校から親からインタビューとして聞く内容がプリントされます。その時に母に書いてもらった中に「お医者様から、この子の命が助かっても何らかの後遺症が残る可能性がある」と言われていた内容があり、愕然とした記憶があります。
当の本人は、実は人生で一番幸せな時期を過ごしていたのです。外目からすると「顔色が悪く、遊べなくて可哀そう」と思われていたと思います。私としてはこの世で一番怖い母が優しくしてくれたことが嬉しくて、「プリンが食べたい」って言ったらスグに持ってきてくれたり、横で添い寝してくれたり、氷枕を取り換えてくれたりすることが何よりの幸せだったのです。
それ程の重病人でありながら、私は入院しなかったのです。当時は近所にイイお医者様が居なかったので、隣駅から往診に来て頂いて、薬を頂いてました。沢山の種類のお薬を飲みましたが、全く効果なし。お医者様から「注射しようか?」って言われて、相当嫌な顔をしたのでしょう「ほな、やめとこ」。何度も来ていただいたのですが効果がないことに困ったのでしょう。困り果てた時、お医者様も私が高熱のために私がボンヤリしていると思って母に尋ねたのでしょう「もう、この子に呑ます薬は全て、もうありません。ただ、この子は体が大きいから大人が呑む薬を使ってみようと思います。いいですか?」と。母は黙って頷いたようです。私は実はボンヤリなんかしてなくて「チョット待って!いいの、そんなんで」って思っていたんですよ。その後、奇跡的に助かりました。
子供って意外とタフなんです。それと大人になると少し弱っただけで「死」を考えますが、子供は「死」を考えません、っていうか知らないんです。そして未来も考えません。今を大事にするんです。「美味しい」とか「あったかい」とか、そんなことがとても幸せなんです。大人の幸せの尺度と、子供の幸せの尺度は違います。
結果はどうであれ、精一杯のことをすれば、子供は親に対して感謝していると思います。